日中韓首脳会談 出席して堂々と対話を

2020年10月26日 07時13分
 韓国で開催予定の日中韓首脳会談に関し、日本政府は出席の前提として元徴用工問題への措置が必要だと伝えたという。出席に条件を付けるのは不適切だ。まずは直接会って、主張を伝えるべきだ。
 日本、中国、韓国による首脳会談は、三カ国が持ち回りで毎年開催する。今年は韓国が議長国となっており、日程は調整中という。
 会談の「条件付き出席」については報道が先行している。日本政府は「コメントを差し控える」(加藤勝信官房長官)として、否定も肯定もしていない。
 両国間の懸案となっている元徴用工問題に関しては、被告企業である新日鉄住金(現日本製鉄)の資産が差し押さえられ、処分手続きが進んでいる。年明けにも売却されるとの見方も出ている。
 このため菅義偉首相は、自分の首相就任後初めて行われた韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領との電話会談で、このまま放置してはいけないとして、韓国側が適切な対応を取るよう、強く求めた経緯がある。
 菅首相とすれば年末に訪韓し、その直後に現金化が行われてしまえば、国内から批判を浴びるとの懸念があるのだろう。
 しかし課題があるからこそ、直接会って合意点を探る必要がある。これこそ外交の基本だ。
 最近の世論調査によれば、この問題を巡って双方の国民感情は悪化の一途だ。もうトップ同士でしか打開は図れないだろう。
 そもそも日中韓首脳会談は、共通する課題を話し合う場だ。この場に二国間の問題を持ち出し、出席の条件とすれば、今後の定期開催自体難しくなる。
 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が、慰安婦問題での日本の前向きな対応が首脳会談の開催条件になるとの認識を示し、三カ国首脳会談実現まで三年半かかったこともある。
 この時、当時官房長官だった菅首相は定例会見で「隣国の首脳が会うのに前提条件を付けるべきではない」「外交問題にするべきではない」などと述べている。今回、出席に条件を付けたとすれば、自己矛盾と言うしかない。
 北朝鮮との間にも拉致問題があるが、菅首相は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との「条件なし会談」の実現を目指している。
 最近、日韓間では国会議員が相手国を訪問し、打開策を模索する動きも出ている。
 来年に入ってしまうと、両国とも重要な選挙日程が迫り、首脳会談を行う余裕がなくなる。好機は生かすべきである。

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