菅色ずらずら…こだわり政策は反対あっても強硬に 所信表明で見えたこと、見えないこと

2020年10月27日 06時00分
 菅義偉首相は26日の所信表明演説で、行政のデジタル化、不妊治療の保険適用などこだわりの政策を次々と挙げ、反対論が小さくない課題を含めて遂行への強い姿勢を打ち出した。だが、取り組みたい項目を並べただけの印象で、中長期的な政権像など大きな展望は語らずじまい。日本学術会議会員の任命拒否問題で表面化した強権的で不透明な政治手法について、信頼を得るための道筋を示すような言葉もなかった。 (村上一樹、清水俊介)

◆コロナでは経済を優先

 「新しい日常においても、旅は皆さんの日常の一部です」
 首相はコロナ禍に苦しむ観光業を支援するため、観光需要を回復させる政策プランを年内に策定すると表明した。
 首相は官房長官時代から、政府の需要喚起策「Go To キャンペーン」を主導。政府はコロナ対策と経済活動の両立を掲げるが「旅は日常」と言い切る姿勢からは、感染拡大への懸念がなお強い中でも、経済対策をより重視したい思いがにじむ。

◆政策並べただけ?

 行政のデジタル化のほか、携帯電話料金引き下げなど以前から取り組んできたり、自民党総裁選で訴えた個別の政策も列挙。2050年に国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにするとの宣言が目新しいくらいだ。
 自民党の二階俊博幹事長は記者会見で「堂々と所信を述べた。国民にも信頼感が伝わったと思う」と首相を持ち上げたが、立憲民主党の枝野幸男代表は党会合で「政策の目次だけを羅列したような中身。どういう日本、社会をつくろうとしているのか、全く示されていない」と批判した。

◆沖縄基地移転「着実に」、原発も推進

 沖縄などを巡る政策では強硬ともいえる姿勢をみせた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設は「工事を着実に進める」と明言。安倍晋三前首相が今年1月の施政方針演説で触れなかった言葉を復活させた。
 敵基地攻撃能力の保有検討は、直接的な表現を避けながらも意欲を示した。原発についても、温室効果ガスのゼロ達成に向け「安全最優先で原子力政策を進める」と推進する姿勢を鮮明にした。

◆「信頼目指す」のに疑問には答えず

 学術会議の任命拒否問題で学問への介入と批判を浴びたことへの言及はなかった。「国民から信頼される政府を目指す」という表現は盛り込んだものの、任命拒否の経緯や理由といった国民の関心事である疑問への説明は素通りし、共産党の志位和夫委員長は記者団に「世論調査では6、7割の国民が説明を求めているのに異常だ」と指摘した。

◆就任から40日目…遅すぎる所信表明

 説明に消極的な姿勢は、国会日程からも浮かび上がる。この日の演説は9月16日の首相就任から40日後に当たる。最近では、2009年の政権交代時に40日という例があるが、政権交代を伴わないケースでは異例の遅さだ。

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