スマホ、上手に付き合おう × 近視・難聴 要注意 〇 障害補助に役立つ

2020年10月27日 07時20分
 総務省の調査では日本人の六割が所有するスマートフォン。大音量による聴覚障害、近くで画面を見続けることによる近視への懸念がある半面、視覚、聴覚障害者の補助ツールとしての有用性が確かめられている。市民公開講座「スマートフォンの光と影」(日本学術会議主催)が開かれ、専門家がこの両面について講演。適切な使用法を守る一方で、補助具としてはさらなる活用、普及を図ることを提言した。
 聖マリアンナ医大耳鼻咽喉科の小森学講師は、騒音が聴覚に与える影響について注意喚起した。
 小森さんによると、聴覚に悪影響があるのは八〇〜八五デシベルより大きな音。スマホの音量を制限する国もある。日本の機種は一〇〇〜一〇五デシベルの出力が可能で、車のクラクションを間近で聴くほどの音量になる。
 小森さんは「悪影響を防ぐにはイヤホン使用を一日一時間にとどめ、使用後は耳を休めるように心掛けるとよい。十分な睡眠や日常の騒音を耳栓などで避けることも大切だ」と話した。
 視力への影響に関しては東京医科歯科大眼科の大野京子教授が登壇。
 小児の近視が世界的に急増し、日本でもここ三十年で約三倍に増えたとのデータを紹介。「小さな画面を間近で見つめるスマホは人の目が経験したことのない強い刺激になる」と注意を促した。近視だけでなく、寝転んで見てピントが左右でずれたり、画面が近すぎて目が寄ったりして斜視の危険性も高まる。
 大野さんは「小児では、保護者が利用時間をきちんと管理し、外遊びの時間を確保するようにしてほしい」と話した。
 京都大耳鼻咽喉科・頭頸(けい)部外科の山本典生准教授は、新型コロナウイルス感染症の流行でマスクの装着が増え、口元が見えないことで聴覚障害者の六割が不便を感じているとの調査結果を基に、聴覚を補助するスマホの可能性に言及した。
 山本さんは、スマホの普及と人工知能(AI)の進歩により、音声を文字に変換する機能が高度化できるとして、技術開発の一層の強化を提言。
 諸外国の建物や交通機関では、スピーカーではなく電磁誘導の仕組みを使って、磁気コイル付きの補聴器や人工内耳に雑音のない音を伝える「磁気ループシステム」の導入が進んでいるとして、日本でも普及を早めるよう訴えた。
 視覚障害者の社会参加の支援、情報支援を進める公益社団法人「NEXT VISION(ネクストビジョン)」の理事で眼科医の三宅琢(たく)さんは、文字の拡大や読み上げ、明るく大きな撮影などスマホに実装されたツールの有用性を解説。色覚障害の色の見え方を画面で再現し、障害がない人との共通理解を深める機能など多様なアプリが開発されていることを紹介した。
 また音声入力と日本語変換の進歩の実例として動画を再生。声の指示だけでアラーム設定や天気の確認、メッセージ送信、日程管理、飲食店を探して道順を調べる−などが三分で可能なことを示した。三宅さんは「スマホは、視覚障害者の『移動と情報アクセスの困難』を解消し、人とのつながりを広げるツールになり得る」と強調した。
 障害者の生活を補助する新しい支援アプリが、東京都障害者IT地域支援センターの「やくだち情報」のページに掲載されている。

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