核禁条約発効へ 日本の参加欠かせない

2020年10月27日 07時32分
 核兵器の保有、使用を全面禁止する「核兵器禁止条約」の来年一月発効が決まった。核保有国は参加していないが、実効性を持たせるために、唯一の戦争被爆国である日本も参加し、協力すべきだ。
 発効が実現したのは、高齢化する被爆者が「最後のチャンス」として核兵器の非人道性を訴え、世界の国々が応えた結果だ。
 被爆者とともに活動してきた国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のフィン事務局長は、「ついに核兵器が禁止された」と歓迎。そして、条約が核兵器削減を迫る圧力になると意義を強調した。
 ただ条約を批准しなければ、法的な順守義務は生じない。核保有国や、核保有国の「核の傘」に依存する日本を含めた国々は批准していない。むしろ「核廃絶には役立たない」として無視したり、冷ややかな反応を見せている。
 核兵器のバランスこそ平和に貢献するとの「核抑止論」もある。しかしこれは、危険な幻想だ。
 核兵器の数は冷戦時からは減少しているものの、米ロを中心に依然として一万発以上存在する。米中の対立が深まり、小型核の実戦配備も進んでいる。
 米国は二〇一七年、北朝鮮への報復として、八十発の核兵器の使用を検討したと報道されている。核戦争は、日本にとって決して遠い国の絵空事ではない。
 核軍縮は現在、核拡散防止条約(NPT)が中心となっている。米英仏ロ中の五大国に核保有を認め、この枠内で削減を図るものだが、交渉は停滞している。
 核禁条約を契機に核軍縮を求める声が高まれば、NPT側が反発、対立が深まる危険性もある。
 重要なのが、日本の役割だ。日本は米国の核の傘に入っているものの、日米安保条約には核兵器に関する記述はなく、核禁条約に参加することは不可能ではない。
 日本政府は「わが国のアプローチと異なる。(核禁条約に)署名は行わない」(加藤勝信官房長官)と否定的な姿勢だが、理解し難い。大切なのは、「核兵器のない地球」という共通の目的を実現することだ。
 日本政府は、唯一の戦争被爆国として、核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を担うと、再三表明してきた。いまこそ、そのタイミングではないか。
 条約発効後、具体的な運用について協議する締約国会議が開かれる。この会議に、オブザーバー参加することを決断すべきだ。

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