帝国ホテル

2020年11月11日 12時04分

女優・宮﨑香蓮が老舗の企業をご紹介します!


女優・宮﨑香蓮が、インタビューから原稿の執筆まで全てを手掛ける連載コンテンツ「大人の社会科見学」。今回は、日本初の西洋式グランドホテルとして知られる帝国ホテル。130年にも渡る歴史を通じて受け継がれてきたものは何か、じっくりとお話をうかがってきました。

重要な役目を背負い誕生した帝国ホテル


 1890年(明治23年)、帝国ホテルは誕生しました。「諸外国に追いつけ追い越せ」の風が吹く、明治時代。当時、世界各国へ「文明国」のアピールをしなくてはいけなかった日本では、海外からの賓客を受け入れるために西洋式のホテルが必要とされていました。そんな情勢の中、鹿鳴館のとなりに帝国ホテルが作られたのです。
 開業当初は一般の方が泊まるようなホテルではありませんでした。そのため、日本にも海外からの賓客を受け入れられる西洋式のホテルがあることをアピールするという、外交上重要な役割を果たしていました。
 1923年(大正12年)には当時の総支配人、林愛作氏と親交のあった建築家のフランク・ロイド・ライト氏が設計した2代目本館がオープンしました。のちに通称「ライト館」と呼ばれるようになるこの建物は、4年もの歳月をかけ建設されました。

帝国ホテルの約2000人のスタッフを統括する、東京総支配人の金尾幸生さん。

 しかし、いよいよオープンというまさにその日、関東大震災が起きたのです。正午の少し前、ホテルではオープニングレセプションの準備の真っ最中でした。
 当時はまだ木造建築も多く、周りの他の建物は倒壊したものが多かったようです。しかし、日本は地震が多い国であることを知っていたライト氏が設計したライト館は、大きな損壊には至りませんでした。

取材のためホテルのバックヤードに入れていただき、とても貴重な体験をしました。

 またライト館は、動力源、熱源をすべて電気にしていました。そのため震災時に火災をまぬがれたのです。震災直後の有楽町を撮影した写真には、帝国ホテルが焼け野原の中に建っている様子が残されています。震災後は、避難している人たちへの炊き出しや、海外の通信社や大使館、国内インフラ系企業へ客室を事務所として貸し出すなど、「帝国ホテルにできることは何か」ということを考え、 復興の拠点として重要な役割を果たしていきます。

「メイドインジャパン」のホテルとして


 関東大震災は大変な災害でしたが、これをきっかけに始まったサービスもあります。それはホテルでの結婚式です。帝国ホテルでは、開業時から披露宴は行われていました。一方で結婚式は当時、家や神社などで行われていました。しかし震災で周辺の神社が倒壊し、結婚式ができなくなってしまったのです。このような状況のなか、結婚式に関するすべてのサービスを帝国ホテルで提供できないかと考えました。神社から神様を分霊して挙式を行えるようにし、髪結いや着付けなど身支度のサービスの他、写真室も用意。準備から結婚式、披露宴まで、すべてが帝国ホテルでできるというサービスを始めました。このサービスがいわゆる「ホテルウエディング」の始まりで、日本初の試みでした。今では当たり前になっているホテルウエディングも意外な歴史から生まれたものなんですね。
 他にも帝国ホテルは日本初のサービスを数多く創り出しています。その中の一つがランドリーサービスです。1900年代の初めは、旅行者が数ヶ月かけて船で移動する時代。ホテルに到着するときには移動時間の分だけ大量の洗濯物がたまっていました。そこで帝国ホテルでは「洗濯部」という部門を作ったのです。今でもお客様がいつでも洗濯物を出せるようにと、ランドリーの自社工場をホテル内に併設しています。
 また、ビュッフェ形式で食事を提供するバイキングも、日本では帝国ホテルが始めたもの。「好きなものを好きなだけ楽しめる」というコンセプトで1958年にスタートしました。今では三世代に渡って帝国ホテルのビュッフェに足を運ぶお客様もいるそうです。
 ホテル本館17階のブフェレストラン インペリアルバイキング サールも、コロナ禍の影響で2020年4月から一時休業を余儀なくされました。帝国ホテルではこの休業の期間中に、様々な見直しを行い、同年8月に新たな形でバイキングを再開しました。ビュッフェ形式のレストランでは、残った料理が廃棄される、フードロスが問題になっていました。そこで、食べたい料理を食べたい分量だけ席で注文する、オーダーバイキング形式に切り替えて再開したのです。これは感染対策だけでなく、フードロスを減らし、SDGs達成へ貢献するために行ったことだとか。オーダーには、密にならず安心して食事を楽しんでもらうため、タッチパネル式の端末を採用しています。この端末では、SDGsへの取り組みの一つとして、子供向けに食育をテーマにバイキングの楽しみ方や歴史についての読み物を閲覧できるようにしたそうです。帝国ホテルの初代会長である渋沢栄一氏は「公益」を唱えたことでも知られています。この精神が、いまレストランをはじめ帝国ホテルの色々なところで行われている、SDGs達成のための活動にも生かされているのかなと思いました。

東京の真ん中に、こんな長い廊下があるなんて。すっごく映えるスポットです!

 帝国ホテルにとって一流のホテルの条件とは、とお聞きすると「まずは安全、安心を徹底すること」とのお答えが返ってきました。設備で言えば、耐震、備蓄食料、貯水、自家発電などを備えています。ソフトで言うと災害時のスタッフの動き方を訓練して、きちんと対策されているそうです。これは少し意外な答えでした。お客様の目に触れない地味なことかもしれないけれど、見えない部分の安全安心があってこそ、充実したサービスが提供できるんですね。
 「メイドインジャパン」のホテルとして生まれた帝国ホテル。時代ごとに社会的な役割を果たしながら挑戦をやめませんでした。だからこそ130年という歴史を紡いできた今でも、愛されるホテルなんだなと感じました。

取材後記
コロナ禍で緊急事態宣言が出されたとき、帝国ホテルでは社長から全社員へ向けて「この難局を乗り切るために、どんなことでもいいのでみんなで何かを考えよう」という趣旨のメールが届いたそうです。約2500名の社員さんたちから、およそ5400件のアイデアが集まり、そのうちなんと約200件を実現。未曾有の事態でもホテルのスタッフが一丸となって、熱く立ち向かっているのを感じました。広報ご担当の北野裕太さんが「当社には、どこの企業よりも愛社精神が強い社員が多いと思います」とにこやかに教えてくださったことが、心に残っています。それにしても今回対応してくださった帝国ホテルの皆さん、姿勢がいい! 見ているだけで清々しい気持ちになったので、わたしも姿勢良く過ごそうと思いました(笑)。取材に対応してくださった、東京総支配人の金尾幸生さん、広報課の北野裕太さん、お忙しい中ありがとうございました!
DATA 帝国ホテル
今年の11月に開業130周年を迎えた帝国ホテル。これを記念し、帝国ホテルで暮らすように1週間滞在できる「日比谷ぐらし」などの特別宿泊プランなども用意されている。
住所: 東京都千代田区内幸町1-1-1
電話: 03-3504-1111
https://www.imperialhotel.co.jp/
PROFILE
宮﨑香蓮(みやざき かれん)
1993年11月20日生まれ。2006年「第11回全日本国民的美少女コンテスト」演技部門賞を受賞し、女優として活動中。NHK大河ドラマ『花燃ゆ』ではヒロインの幼馴染・入江すみ役として出演するなど、いま活躍を期待される若手女優の代表格。
【プロフィール】
●11月30日(月)20:00~21:54 テレビ東京 月曜プレミア8「作家刑事 毒島真理」(牧原汐里 役)出演
●テレビ朝日「遺留捜査」レギュラー(滝沢綾子 役)
●「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2020」ジャパン部門ノミネート作品 「BENTHOS」主演(美嘉 役)
●東京2020オリンピック聖火リレー 長崎県内走行聖火ランナー

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