「トランプは家族を引き裂いた」「バイデンには国を守る強さがない」 激戦州・ペンシルベニアルポ

2020年10月28日 05時50分

米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで、期日前投票に向かう人々

 米大統領選まであと1週間となり、共和党トランプ大統領と民主党バイデン前副大統領の戦いは激しさを増している。特に激戦州の東部ペンシルベニアには両氏とも今年になって10回以上入り、トランプ氏は26日、同州3カ所で集会を実施。バイデン氏も現地でトランプ氏批判を展開した。大都市から地方まで幅広い地域を持ち、「要石の州」の愛称も持つ地で最終盤の声を聞いた。(同州で、杉藤貴浩、写真も)
 「ねえ、ここにあった看板どこにやったの?」
 「撤去したわよ。許可をもらってないでしょ」
 なだらかな丘に田園が広がる同州南東部ランカスター郡で開かれた共和党の集会。駐車場で車を降りると、過熱気味の言い合いが起こっていた。敵陣に単身乗り込み、植え込みの芝生にバイデン氏支持の看板を差していた女性はペギー・アブラハムソンさん(61)。撤去されても意に介さず、「移民に厳しいトランプは家族を引き裂いた」と訴える。対する共和党支持者らも「バイデンには国を守る強さがない」と声を張った。
 アブラハムソンさんは孤軍奮闘するが、ランカスター郡は保守的な農業者が多くトランプ氏が優勢。集会帰りの酪農団体代表ルーク・ブルベカーさん(79)は「民主党は自然保護だと言って農業に最適な土地でも利用を規制する。社会主義は怖い」と顔をしかめた。
 だが、車で東へ2時間、全米有数の大都市フィラデルフィア市の街角では違った光景が見えてくる。
 「われわれは、戦わずしてよりよい未来を見られない」。選挙戦を通じて初となる民主党のオバマ前大統領の演説があった夜。雑貨店パートの黒人女性サンティシャ・ウエストさん(38)は会場外のフェンスにつかまりながら耳を傾けていた。「彼の演説は最高。やっとトランプ政権が終わる日が来た」

米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで、オバマ前大統領の演説を会場外から聴くサンティシャ・ウエストさん

 気の早い笑顔は、同市を含む郡が4年前もトランプ氏に圧勝した民主党の牙城だからだ。バイデン陣営は根強い人気を誇るオバマ氏を投入し、同州奪還に向けて大票田でさらに突き放す構え。期日前投票の長い列にいた病院勤務のニキア・エドモンズさん(39)も「新型コロナウイルスではわたしの患者も亡くなった。政府の支援が足りず、2週間同じマスクを使ったこともあった」とバイデン氏支持を明言した。
 多様な地域と産業構造を抱え、全体の投票傾向が読みにくい同州。実際、フィラデルフィアに近く、リベラル色が濃いチェスター郡でも、事前投票の列にトランプ支持者は少なくなかった。元自動車製造業のマーク・スカッブさん(70)は「トランプ氏の人柄を好きになるのは難しい。だが、減税政策は好きだ」と漏らした。
 地元エリザベスタウン大学のカイル・コプコ教授は、「全米の中で最後まで勝敗がもつれ、票数の確認などで両陣営の訴訟に発展する可能性もある」と激戦ぶりを指摘している。

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