県内初 「ナラ枯れ」つくばで確認 県が警戒情報提供呼びかけ

2020年10月28日 07時18分

ナラ枯れの被害があった街路樹のコナラ=つくば市で(8月撮影)

 本格的な紅葉シーズンを迎えるのを前に、県はナラ類やカシ類の樹木が枯れる「ナラ枯れ」の被害に神経をとがらせている。被害は東北や中国地方で多いが、八月に県内で初めて確認されたからだ。ナラ枯れは甲虫類のカシノナガキクイムシ(カシナガ)が、病原の「ナラ菌」を木にうつすことで起きる。県内で既に被害が広まっている可能性もあり、県は情報提供を呼びかけている。(出来田敬司)
 つくば市道路管理課によると、被害が見つかったのは松代四にある街路樹のコナラ二本。市内にある森林総合研究所の職員が八月二十八日に木の異常を発見、県を通じて市に連絡した。市から調査依頼を受けた研究所が伐採した木を確認したところ、カシナガの幼虫などを確認した。すでに木は焼却処分した。
 被害が起きる仕組みはこうだ。(1)ナラ菌を付着したカシナガが木に飛来する(2)カシナガが木に穴を開けて入り込み、ナラ菌を持ち込む(3)カシナガが開けた穴を伝ってナラ菌が広がり、木の細胞が死ぬ(4)枝や葉に水を運ぶ導管の機能が失われ、木が枯れる。
 木の中で繁殖したカシナガは、別の木に移動することで被害が拡大。被害を受けるのはコナラ、ミズナラ、クヌギ、クリなど。紅葉前の七〜八月ごろに葉の色が赤褐色になり、被害が確認されることが多い。
 ナラ枯れの被害は、全国的には落ち着きつつある。被害にあった木の総量は二〇一〇年度に三十二万立方メートルに達したが、ここ数年は十万立方メートルに満たない量に。一八年度には約四万五千立方メートルにとどまった。
 一方で、被害の範囲は拡大しており、今年に入ってから初めて本県と栃木県で確認された。
 県林業課によると、県南や県西などで数件、ナラ枯れに似た症状を見つけたとの情報があり、確認作業をしている。ナラ枯れのあった木は、幹にカシナガが入った直径一・五〜二ミリ程度の穴があったり、幹の周りの地面に穴を開けた際の粉のような木くずがたまっていたりする。
 松が被害に遭う「松くい虫」とも似ているが、ナラ枯れの場合、予防に手間がかかるのが難点だ。松くい虫の場合、空中から薬剤を散布する方法があるが、ナラ枯れは、カシナガの付着を防止する薬剤やビニールを、幹の周りに一本ずつ巻く必要がある。
 鴨志田憲一課長は「県内では被害が今まさに押し寄せている状況。つくば市の事例は街路樹だったが、山間の広葉樹林に入り込む前に何とか被害を抑えたい」と警戒感を強めている。
<カシノナガキクイムシ(カシナガ)> 体長4〜5ミリで、黒っぽい円柱形の体を持つ。生物学的にはカブトムシに近い。コナラ、ミズナラ、クヌギなどの木の幹で成長し、翌年の6〜8月に別の木にうつる。本州、四国、九州の各地で生息が確認されている。

円内がカシナガが入り込んだ幹の穴


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