表情豊か、こま犬さん紹介 ガイドブック 県内に127対

2020年10月28日 07時17分

「埼玉の狛犬」を執筆した落合さん=さいたま市で

 寺社の境内などに自然とたたずむこま犬。よく見ると、空想上の神獣であるがゆえ、立ち居振る舞いも表情もさまざまだ。そんな個性豊かな県内のこま犬百二十七対を紹介する「埼玉の狛(こま)犬」(さわらび舎)が刊行された。それぞれの特徴がよく分かるガイドブックに仕上がっている。 (近藤統義)
 出版のきっかけは、昨年七〜九月に県教育委員会が写真共有サービス「インスタグラム」で行った投票企画「#101匹の埼玉狛犬」。文化財への関心を高めようと、好きなこま犬の写真を募集、投稿は約三百五十対に上った。

祈るような表情の前川神社(川口市)のこま犬

 思わぬ反響を受け、担当した県教委文化資源課の落合範崇さん(42)を中心に本の制作委員会が発足。地域バランスを考慮して掲載する百二十七対を選び、落合さんが全て現地に足を運んで建立年代などの情報を集め、写真も撮影した。
 県内全体を回ってみて、「残念ながら統一的な特徴は見いだせない」と落合さん。一方で、座っている足元へ尻尾が垂れた「流れ尾」がよく見られ、これは古くから関東地方に多い定番の形という。
 また、犬や獅子だけでなく、カエルやウサギ、サルなどをモチーフにした像もある。神の使者や神そのものとみなされた動物たちだ。秩父地方に多いオオカミの像は、この地域で厚いオオカミ信仰を物語る。

三峯神社(秩父市)のオオカミのこま犬(こま犬の写真はいずれも県教委提供)

 台座に入った文字に着目するのも面白い。落合さんは「金婚や退職の記念、昭和なら戦勝祈願も刻まれている。奉納した当時の人々の思いに触れられる」と力説する。県内には少なくとも千対はこま犬があるといい、「まだ発見されていない像があるかもしれない。そんな探索意欲をくすぐる存在です」と魅力を語る。
 百六十ページ、千八百円(税別)。主な書店やインターネット通販で購入できる。

姥宮神社(寄居町)のカエルのこま犬


関連キーワード

PR情報

埼玉の最新ニュース

記事一覧