地域共生社会の構築へ大きなツール 自民党・後藤茂之衆院議員<協同労働 各党に聞く>
2020年10月29日 05時50分
組合員が自ら出資し、運営も担う新たな働き方「協同労働」を法制化する「労働者協同組合法案」が、今国会で全会派が賛成し成立する見通しだ。法制化に尽力した各会派の国会議員に、法案の意義や今後の期待を語ってもらう。
―今国会で成立する見通しの労働者協同組合法案に関し、法制化ワーキングチーム(WT)事務局長として作成に携わった。労働者協同組合はなぜ必要か。
「例えば、農業関係の皆さんが自分たちで作った野菜を即売したいと思ったときに、皆で元手となるお金を出し合って、均分に働きながら参加したいというニーズがある。そこには、緩い集まりではなく、継続的に事業をやっていきたいという思いもある」
―実際に需要があると。
「地方出身の議員として地元で活動したり、WTでヒアリングを重ねたりする中で、そうした思いをもっとストレートに受け止められる、難しくない形態の法人制度があったらいいと考えた」
◆制度の仕組みに労働法制を位置付け
―法案に労働契約の締結を盛り込んだ。
「営利的な分配を目的とした組織ではあるが、出資する組合員にも働く人としての保護は必要だ。労働契約を締結することで、労働基準法などの労働保護法制の対象になる。制度の仕組みに労働法制を位置付けることが、1つの大きな論点だった。かつては与党の議論で、こうした法人形態のイメージが理解されない時もあったが、事業や働き方そのものの多様化が進み、理解が広がった」
―法制化でどう変わる。
「介護、福祉、子育てなど地域の事業を、ボランティアや一時的な活動ではなく、簡易な法人形態で継続的に事業化できることは非常に重要だ。皆が互いに支え合っていく『地域共生社会』の構築に向け、大きなツールになると信じているし、そういう活動が地域で起きていけばいいと思う」(聞き手・坂田奈央)
ごとう・しげゆき 1955年、東京都生まれ。旧大蔵省を経て、2000年衆院選で初当選し、6期目。衆院長野4区。自民党政調会長代理、党新型コロナウイルス対策本部座長。
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