【独自】調布の道路陥没、振動が他工区より大きかったか 外環道トンネル工事のルート上

2020年10月29日 05時50分

陥没現場近くの民家のブロック塀に振動で生じたとみられるひび割れ

 東京外かく環状道路(外環道)のトンネル工事のルート上にある東京都調布市の市道が陥没した問題で、工事による振動が他工区に比べて大きかった可能性が付近住民の話や専門家の分析で強まった。東日本高速道路(NEXCO東日本)は本紙の取材に「モニタリング調査では都の環境基準を超える振動は観測していない」とする一方、実数は明かさなかったが、陥没現場付近の住民からの振動に関する苦情件数が他の工区よりも多かったことを認めている。原因調査では陥没と振動の因果関係の解明が焦点になる。(花井勝規)
 今月18日に長さ5メートル、幅3メートル、深さ5メートルの穴が開いた現場は、入間川に近い調布市東つつじケ丘の住宅街。現場の真下にあたる地下47メートルでは、トンネルの掘削工事が進められ、国内最大、直径16メートルのシールドマシンが9月14日に通過したばかりだった。

◆周辺10軒でタイルが剥がれたり、ブロック塀にひび

 その前後、現場周辺の計10軒から、振動で住宅の外壁のタイルがはがれ落ちたり、ブロック塀にひびが入ったりする被害の連絡が東日本高速道路に入った。
 主婦菊地春代さん(64)宅では、庭の縁石と道路との段差が上下に約7ミリ広がるなどした。「地下からの振動がずっと続いた。細かな被害はもっと広がっている」とこぼす。

◆震度計アプリで計測したら震度2や震度3

 アパート1階に住む30代の会社員男性は振動と音に悩まされた。「テーブルに置いたスマホの震度計アプリで計測したら『震度2』や『震度3』を指した」という。「そんな状況が毎朝9時半ごろから、昼休憩を挟んで夜7時ごろまで10日間も続いた。精神的に消耗した」と振り返る。
 現場周辺では今月27日にボーリング調査が始まり、12月中旬まで陥没原因を探る作業が行われる。
 東京外環トンネル施工等検討委員会で有識者委員長を務める小泉淳早稲田大名誉教授(トンネル工学)は現場の地下地盤には、音や振動を吸収するとされる土の細かな粒子「細粒分」の成分が極端に少なく、石などの礫の割合が高いと指摘。そのために「シールドマシンのカッターを回そうとしても重くて動かせない状況」になり「振動が大きくなった」と分析した。

 規矩大義(きく・ひろよし)関東学院大教授(地盤防災工学)の話 初めは小さかった地中の隙間が地下水の流れなどで大きな空洞になることはよくある。今回、その下にさらにシールドマシンが通ったことで影響を与えたとすれば、陥没の原因になり得る。ゆったりと詰まっていた地盤の体積が振動で小さくなり、上に隙間が生じるメカニズムだ。着工前により綿密な地盤調査が求められることになりそうだ。

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