月末フライデー 空上(からあ)げの日 もっとアゲたい!空自名物

2020年10月29日 07時11分

戦闘機F1の前で「空上げ」を紹介する航空自衛隊熊谷基地の隊員ら=埼玉県熊谷市で

 航空自衛隊が鳥の唐揚げ「空自空上(からあ)げ」を名物料理にしようとPRに懸命だ。九日からSNSに調理動画をアップ。先行する海自のカレーに追いつけ追い越せと意気込む。代表的な国民食を擁しての“海空バトル”。そしてあしたは空自が設定した「空上げの日」−。
 入間基地(埼玉県)は衣に名産の狭山茶を混ぜた鮮やかな色合い。那覇基地(沖縄県)は南国の果実・シークワーサー風味。空自ホームページには全国の基地、分屯基地でつくられている、六十六のレシピが掲載されている。

<入間>狭山茶をペースト状に


<那覇>シークワーサー効いてます


 熊谷基地(埼玉県)はソースに同県北部名産のネギが使われている。レシピを考案した副調理長の並木俊久さん(45)は「暑いところなので、ネギを使ってスタミナが付くものをと考えた」と話す。体力勝負の自衛官。とはいえ給食にあまり高価な食材は使えない。栄養担当官の加藤有夏さん(27)と自衛官栄養士の三宅睦美さん(45)は「タンパク質も多く、空上げは給食として理にかなっている」と声をそろえる。

熊谷基地の給食室で「空上げ」を頬張る隊員

 自衛隊の名物料理といえば、海自のカレーが先輩格。航海生活でも曜日の感覚を保つためにと旧海軍が金曜日にカレーを食べたのが起源とされ、海自が伝統を受け継いだ。部隊や艦船ごとに味を競い、基地周辺の飲食店と連携してイベントが行われたり、レトルト食品になったりと、町おこしにも一役買っている。
 それと比べると、空上げの歴史は浅く、誕生は二〇一八年春。給食の唐揚げを名物にすることで、隊員の士気高揚と国民に親しまれることを狙った。「空上げ」という当て字に「空自全体で、より上を目指す」という意味を込め、各基地、分屯基地で地元食材を使うなどレシピに工夫を凝らしている。
 月末の金曜日は「空自空上げの日」として、全国の基地、分屯基地の給食で一斉に振る舞われている。ちなみに金曜日にしたのは海自カレーのまねではなく、「フライ(揚げる)デーだから」(空幕広報室)。ガクッとくる駄じゃれだが、戦後に米空軍を母として育ち、さらに近年はさまざまな意味で一体化が進んでいる空自だけに、アメリカンジョークということか。
 さらなる普及のため空中戦にも打って出た。「おおぞらキッチン」と銘打ち、SNSで調理法の紹介動画を配信。第一弾の那覇基地編は十万回以上も再生されたそうで、今後、月二回程度のペースで動画をアップするという。

◆海自カレー 追い越すぞ

 八月に就任したばかりの井筒俊司航空幕僚長も「PRして空自が皆さんに親しまれる一助にしたい」とトップセールスを行い、「海自カレーの認知度を百とすると、二百くらいまで伸ばしたい。コンビニのレジの横には唐揚げが売られるほど親しまれていてポテンシャルがある」と意気込む。
 カレーライスと唐揚げ。代表的な国民食を擁しての対決は、少子化などで募集難にあえぐ自衛隊の必死さの裏返しとも言えるが、空自、海自とも士気は高い。挑戦を受ける海自側は「こちらには百年以上の歴史と経験がある。負ける気がしない」(幹部)と余裕。先輩の言はピリッと辛口だ。

<横田>一枚岩の団結表す一枚肉


<美保>鳥取産ナシジュースふんだんに ※空上げの写真は空自提供


◆どこで食べられる?

調理法を紹介する動画

 空自空上げはレシピを参考に自分で作るのが基本。ただ、基地によっては見学会で振る舞われたり、近隣の飲食店が出しているところがある。缶詰や冷凍した材料を民間業者が販売するケースも出始めている。
 都内では西武新宿線野方駅近くの飲食店「ANJI(アンジ)」=電03(6310)9779=で九州地方の基地の空上げが食べられる。
 文・荘加卓嗣 写真・市川和宏
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