<ふくしまの10年・地図に残してはいけない仕事>(3)前代未聞の除染作業

2020年10月29日 08時02分

民間ビルに間借りする福島地方環境事務所=福島市で

 東京電力福島第一原発事故で汚された福島各地の放射線量を下げるには、汚染された表土を剥ぎ取ったり、家屋を掃除、解体したりするしかない。その際、放射性廃棄物が出るため、廃棄物を担当する環境省が前代未聞の除染事業を担うことになった。
 だが同省は規模も小さく、環境を守る規制が主な仕事。兆円単位の巨額事業を自ら実施するのは異例中の異例と言ってよかった。
 福島環境再生事務所(現福島地方環境事務所)の発足時の人員は六十九人。他省庁からの応援もあったが足りず、原発関連のプラントメーカーなどからも応援を受け、何とか仕事をスタートさせた。
 わずかな人員で被災地を回り、住民から家屋や農地の除染をしていいか同意を取る。除染を始めれば、汚染された土や木、根などの廃棄物が大量に発生。これらを一時貯蔵する仮置き場も確保しておく必要がある。農地や山の所有者との用地交渉も仕事だ。
 作業員や重機の手配や監理は元請けのゼネコンがやるとしても、事業内容を決め、費用をはじいて入札を実施し、発注するまでは環境再生事務所の仕事だ。
 「国内で前例のない事業のため、工事の組み立て、機材のイメージが分からず発注業務に苦労しました」。除染推進チーム次長だった小沢晴司さん(59)はこう振り返った。
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

関連キーワード


おすすめ情報

社会の新着

記事一覧