欧州コロナ第2波 ドイツ、フランス規制強化 イタリアなども夜間外出禁止
2020年10月30日 05時50分
【パリ=谷悠己、ベルリン=近藤晶】欧州で新型コロナウイルス感染の第2波が猛威をふるう中、フランスとドイツは28日、再び規制強化を余儀なくされた。両国とも事業者への補償を打ち出すなど影響を最小限に抑えようとしているが、回復途上の経済への打撃は避けられない。
「経済は止めないし、崩壊もさせない」。マクロン大統領は28日夜のテレビ演説で強調した。仏政府は、30日から12月1日まで通勤・通学や買い物などを除く不要不急の外出を制限する都市封鎖(ロックダウン)を行う。
◆春のロックダウン1日2400億円の損失
55日間続いた今春のロックダウンでは多くの企業活動がストップし、1日当たりの経済損失は20億ユーロ(約2400億円)に上ったとの試算もある。その教訓から今回は理由書の持参を条件に職場への通勤を奨励した。
小中高生の通学を認めたのも共働き家庭への配慮とみられ、休業を余儀なくされる中小事業者には毎月最大1万ユーロ(約120万円)の補償金を用意した。ただ、経営者団体MEDEFのルードベジュー会長は29日、「感染源にもなっていない店舗を休業させるのは間違いだ。多くの企業が倒産に追い込まれるだろう」と批判した。
スペインやイタリアでも夜間外出の禁止や飲食店の夜間営業禁止など第2波への警戒を強めている。
◆独政府は飲食店閉鎖も小売店の営業認める
独政府も28日、11月2日から同月末まで飲食店閉鎖などの規制策を発表。今春と異なり、学校や保育園などは閉鎖せず、小売店の営業も認めるなど部分的なロックダウンとした。
休業を求められる従業員50人以下の事業者には前年同月売上高の75%を補償し、支援総額は最大100億ユーロ(約1兆2000億円)を見込む。だが、独連邦統計庁によると、飲食業界の今年3月~8月までの売上高は前年同期比で約4割減、従業員の約17%が職を失うなど大きな打撃を受けた。
飲食店労働組合のツァイトラー議長は独メディアに「政府支援は、時短労働に追い込まれた従業員の賃金損失を補うためにも使われるべきだ。迅速で大規模な支援がなければ、飲食業界にとって2度目のロックダウンは致命的な打撃になる」と訴えた。
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欧州で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。世界保健機関(WHO)欧州地域事務局が管轄する53カ国の新規感染者数は、第1波のピークの5倍を超え、24日には1日あたり24万人に達した。一方で死者数は第1波よりも抑えられている。
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欧州で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。世界保健機関(WHO)欧州地域事務局が管轄する53カ国の新規感染者数は、第1波のピークの5倍を超え、24日には1日あたり24万人に達した。一方で死者数は第1波よりも抑えられている。
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