学術会議の構成、最多の東大2割未満 首相「偏り」繰り返すも地方が半数超

2020年10月30日 05時50分
 菅義偉首相は29日の衆参両院の本会議で、日本学術会議の新会員の任命拒否に関し、会員構成が一部の大学に偏っているなどと繰り返し、改革する必要性を主張した。実際には最も多い東大の会員の割合は減少傾向で全体の2割に満たない。首相は地方の会員が少ないとも指摘しているが、最近は年々増加して関東以外の会員が過半数を占めている。(中根政人)

◆首相「民間、若手少なく 大学にも偏り」

 代表質問では、首相は任命拒否に関して「民間出身者や若手が少なく、大学にも偏りがみられることも踏まえ、多様性が大事であることを念頭に、私が任命権者として判断を行った」と説明した。26日のNHK番組では、会員構成を巡って「地方の会員も選任される多様性が大事だ」とも述べている。
 学術会議の大西隆元会長が野党に提出した資料によると、現会員204人のうち、東大の会員数は16.7%の34人で、2011年10月の28.1%から低下。地域別の会員の割合も、関東地方は11年10月に59.5%だったが、現在は49.5%へ10ポイント下落した。

◆女性比率少ないのに1人を拒否

 首相が任命拒否した新会員6人には、会員ゼロの東京慈恵会医科大の小沢隆一教授や会員1人の立命館大の松宮孝明教授も含まれている。女性の比率が37.7%と低い問題は改善されていないが、女性の新会員も任命拒否された。首相は女性や会員ゼロの大学の教授を除外した理由を問われても答えず、多様性が大事とした選考基準との整合性が取られているとは言い難い。
 首相の発言が法律で定めた権限を逸脱しているとの指摘もある。日本学術会議法17条は、同会議が優れた研究・業績がある科学者の中から会員候補者を推薦すると規定する。首相が言及しているような選考の基準は条文にない。

◆「首相が勝手に基準つくり任命拒否」

 29日の衆院代表質問では、共産党の志位和夫委員長が「首相が勝手に基準を作って任命拒否を始めたら、学術会議の独立性が根底から破壊される」と批判。首相は「産業人、若手研究者、地方在住者など多様な会員を選出すべきだと総合科学技術会議(現在は総合科学技術・イノベーション会議)から意見具申があった」と釈明した。
 首相の任命拒否に関する答弁について、立憲民主党の福山哲郎幹事長は記者団に「答弁が重なるにつれ、いよいよ迷走し始めたという感じがする」と語った。

PR情報

政治の最新ニュース

記事一覧