鎌倉の女性が語る養育 里親「子の自立私の役目」

2020年10月30日 06時50分

里子が母の日にくれたプレゼントを手にする長主さん(右)と宮崎さん=鎌倉市の鎌倉児童ホームで

 さまざまな事情で実親と暮らせない子どもを家庭的な環境で育てる里親制度。国は子どもの発達には特定の大人との愛着関係が大事だとして、里親家庭で暮らすことを推進しているが、なかなか進んでいない。六歳の男の子を育てている鎌倉市の女性に、里親になった理由や、喜びや課題を聞いた。十月は里親月間。一緒に里親について考えてみませんか。(石原真樹)
 医師の長主(ながす)直子さん(56)と、ミュージシャンで米国人のケビン・コートニーさん(49)の夫婦が里子を迎えたのは六年前。「このまま二人でも良いけれど、子どもがいても楽しい家庭になれる」と里親登録したところ、生後六カ月の赤ちゃんを迎えることが決まった。
 最初の一、二カ月は熱を出すことが多かったが、それ以外はあまり手がかからず、保育所に預けて仕事も続けた。長主さんが飼い犬の死にショックを受けて泣いていると「守ってあげるよ」と声をかけてくれる優しい男の子に育ち、「彼がいて当たり前の家族になった」と喜ぶ。
 自分たちが里親で、実親が別にいるとの「真実告知」はするつもりだが、どのタイミングにするか夫婦で話し合っているという。「自立に向けてチャンスを提供するのが私たちの役目。大人になったら『昔こうだったよ』とたくさん話してあげたい」と話す。
 里親をサポートする鎌倉児童ホーム家庭養育支援センターの宮崎千鶴子さんは、里親の中には虐待経験や障害のある子どもの養育に苦労するケースもあるという。「実子でも苦労はある。さまざまな事情を抱えていても、それを個性として受け止めてもらえたら。私たちが里親を全力で支援する」と話す。

◆実親の反対や虐待経験 委託進まず

 国は、実親と暮らせない子どもの預け先のうち里親家庭や複数の子を養育するファミリーホームの割合(里親委託率)を、三歳未満は二〇二四年度までに75%以上に引き上げることを目標に掲げている。
 しかし、県や児童相談所を設置している県内四市のうち年齢別の委託率を公表している県と川崎、相模原両市の三歳未満の里親委託率は一九年度時点で12〜44%にとどまる。県の担当者は「里親に預けると子どもが戻らないと思って反対する親や、虐待などのトラウマを抱え預けるのが難しい子が少なくない」と言う。
 里親制度の周知も課題。里親の体験談などが聞ける恒例イベント「里親大会」は本年度、新型コロナウイルスのため中止になった。宮崎さんは「里親にならなくても、地域にいろんな家庭があると知ってほしい。それだけで子どもたちへの応援になる」と話す。問い合わせは、県の委託を受けて里親を支援している「里親センターひこばえ」=電046(205)6092=へ。

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