<ふくしまの10年・地図に残してはいけない仕事>(4)怒りや不信感に直面

2020年10月30日 07時42分

農地除染では、汚染度合いの高い表土を除去し、山砂を入れていく=福島県富岡町で

 東京電力福島第一原発事故から1年半後の2012年9月に開かれた避難住民への説明会。環境省の現地責任者として出席した小沢晴司さん(59)は、あらためて住民の怒り、国への不信感に直面した。
 「怒号が飛び交い、厳しい視線にさらされる中、事故を発生させたことを国側責任者の副大臣と一緒に謝罪し頭を下げました。エネルギー政策だから、関係ないなんて言っていられませんでした」
 普通の暮らしを奪われ、いつ戻れるか分からない避難住民の思いは切実だ。山は除染しないのか、本当に放射線量は下がるのか。さまざまな質問が続いた。
 環境省にも除染のノウハウなどなかったが、さまざまな研究で、原発から地上に落ちた放射性物質は、その八〜九割が表層五センチにとどまっていることが分かってきた。この部分を削り取れば、放射線量は確実に低減できる。ゼネコンによる調査では、線量が六割減るとのデータもある。
 ただ、避難指示が出た自治体だけで十一市町村に及ぶ。山林は除外するにしても、そんな広大なエリアを理屈通り施工できるのか。大型土のう(フレコンバッグ)二千二百万袋と見積もられた汚染土をどうするのか。避難住民に納得してもらえるのか。小沢さんは試行錯誤しながら進むしかなかった。
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

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