コロナで職と家失い、野宿で財布盗まれ… 困窮者に迫る厳冬「温かく年越しできる政策を」

2020年10月30日 11時29分
東京都庁近くの路上で、生活困窮者らに配る食品を袋詰めにする自立生活サポートセンター「もやい」などのスタッフら=東京・西新宿で

東京都庁近くの路上で、生活困窮者らに配る食品を袋詰めにする自立生活サポートセンター「もやい」などのスタッフら=東京・西新宿で

  • 東京都庁近くの路上で、生活困窮者らに配る食品を袋詰めにする自立生活サポートセンター「もやい」などのスタッフら=東京・西新宿で
  • 「もやい」などが生活困窮者らに配った弁当、トマト、バナナ
 新型コロナウイルスの影響で休職や失業に追い込まれ、日々の暮らしに苦しむ人が後を絶たない。困窮者を支援する認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都新宿区)などによる食品配布には、多い日で例年の2倍以上の人が並ぶ。今年はコロナ禍でクリスマスなど祭事関連の仕事があてにできないとの見方もあり、年末に向けて困窮者の生活がさらに苦しくなることも予想される。(中村真暁)

◆持ち物は自転車と充電切れの携帯電話だけ

 「住まいと仕事が欲しい」。10月上旬、都庁周辺で行われた食品配布に並んだ男性(34)は、声を落とした。
 5月に勤め先のイベント会社が、新型コロナの影響で倒産。仕事と並行してダンサーの夢をかなえるため活動し、借金が230万円ある。職探しはうまくいかず、1カ月ほど前に家賃が払えず住まいも失った。野宿中に荷物を盗まれて財布と身分証をなくし、入居予定のシェアハウスもあきらめた。
 居場所がなく、夜は自転車でうろうろしている。持ち物はこの自転車と充電切れの携帯電話だけ。「微熱がある。体調が悪いのに(公的支援の窓口に)相談するのは申し訳なくて控えている」

◆食料配布に前年の倍以上、生活相談も急増

 また、食品をもらった若いカップルは「2時間半並んだ」。2人とも生活が不安定で、この日は「野宿かもしれない」と漏らした。列には高齢者や外国人もおり、初めて利用する人も。収入減などで困窮した人の家賃を支給する住居確保給付金を受けながら、食に困って訪れた人もいた。
 「もやい」などの支援団体は毎週土曜に食品を配っている。1日当たりの利用者は5月末の184人がピークで、その後は落ち着いたが、8月下旬から増加。9月中旬~10月上旬は160人から170人。これは前年同期の2.5倍に当たるという。
 また、コロナの影響で鍋を使った炊き出しから弁当配布に切り替えたNPO法人「TENOHASI」は月2回、豊島区池袋周辺で活動しているが、最近の利用者数は前年の2~3割多く、生活相談などの新規相談者も2~3倍という。

◆クリスマスのイベントも減、厳しい年越しに

 「もやい」の大西連理事長は「困窮者は年末に一段と厳しくなる」とみる。住居確保給付金は4月に要件が緩和されたが、支給は最長9カ月で、4月から支給されていれば年末で期限が切れる。
 大西さんは「労働契約が年末までだったり、コロナによりクリスマス関連のイベントがなく仕事が減ったりする人が出るだろう」とみる。食品配布に並んだ男性のように身分証がなければ仕事や住居、携帯電話の契約は難しく、対応策が必要と指摘する。
 TENOHASIの清野賢司事務局長も「温かく年越しできる政策を打ち出してほしい」と求めている。

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