コロナの影響で高齢者の外出減少 足立区の施設は昨年の7割減

2020年10月31日 05時50分

マスクを着用し、バンパーをする高齢者。後ろの大広間の席にはパーテーションが設置されている=東京都足立区で

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、東京都足立区では高齢者交流施設の利用者が昨年の3割弱に激減している。同区は人口の約4分の1を65歳以上が占め、都内23区で高齢化率が最も高い。感染を恐れて外出をためらう高齢者の体力低下が懸念されるほか、地域のつながりが薄れることを心配する声も上がる。(藤川大樹、原田遼)
 足立区保塚町にある高齢者交流施設「悠々館ゆうゆうかん」。マスク姿の高齢者がビリヤードに似た「バンパー」を楽しんでいた。
 近くには「3密」の回避やマスク着用を求める張り紙がある。利用者は互いの距離に気をつかいながら、ボールを突いていた。

◆「足腰弱った」 「孤独を感じた」

 悠々館は3月上旬~5月末の約3カ月間休館した。バンパーをしていた女性(74)は「休館中は家にいる時間が長く、足腰が弱ったと感じた。感染は怖いが、勇気を振り絞って再び通い出した」と話す。
 別の女性(78)は「休館中、家で『数独』を解いたりテレビを見たりして過ごした。夫を亡くし1人暮らしなので、孤独を感じた」と振り返る。
 ただ、多くの利用者は戻ってきていない。区内には48カ所の住区センターに悠々館があるが、6~8月の利用者(60歳以上)は計約5万2000人で、昨年の同時期と比べて約7割減った。

◆家族が利用に難色示すケースも

 入館者数の制限や検温、手指の消毒、飛沫を防ぐパーテーションの設置などの対策を実施しているが、足立区の物江ものえ耕一朗住区推進課長によると、高齢者本人が来館したくても、家族が利用に難色を示す例も耳にするという。
 今年は、各住区センターの盆踊りや住区祭りなどの催しは軒並み中止になった。高齢者同士だけでなく、子どもや若者らと顔を合わせる機会も減っている。長く民生委員を務めた保塚住区センター管理運営委員会の清水一弥委員長は「催しがなく、引きこもってしまう高齢者は多いと思う。新型コロナが早く収まってほしい」とため息をつく。
 足立区の久米浩一地域調整課長は「町会の活動が止まり、行政側も地域の人材と会える機会がなくなっている」と対策を講じる必要性を感じていた。

◆筋肉量や握力の低下傾向

 東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授は、外出機会の減少による高齢者の「フレイル」(心身などの虚弱)を危惧する。
 同機構が7月、福岡県の高齢者32人の体力を測定し、昨年11月と比較したところ、15人の筋肉量が減っていた。握力などでも低下傾向が見られた。
 飯島教授は過度な外出控えによる体力や認知機能の低下を懸念。「屋内でも窓を開けてマスクをすれば、感染を防ぎながら運動や遊戯ができる。コロナを正しく恐れて行動を」と呼び掛ける。
 また、電動車いすを販売する「WHILL」(東京都)が8月、高齢者600人にアンケートをしたところ、約66%が社会との関わりが減ったと回答した。1年前は約6割が週5日以上の外出をしていたが、8月時点では約4割に減っていた。
 厚生労働省は今月、高齢者が参加する地域活動の実態調査を開始。介護予防を目的にした体操やカラオケ、マージャン、食事会など同省が「通い場」と呼ぶ活動の現状を自治体から聞き取り、今秋中にまとめる。

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