トランプ氏への反発だが集計遅れで訴訟懸念も…郵便投票はバイデン氏にもろ刃の剣

2020年10月31日 05時55分

26日、米ユタ州で届いた米大統領選の郵便投票を整理する選挙管理委員会の職員=ゲッティ・共同


 【ワシントン=金杉貴雄】新型コロナ禍で前例のない戦いとなっている米大統領選は、郵便投票を含む期日前投票が既に前回大統領選の全投票の6割にあたる8000万人を超す空前の規模に上っている。11月3日の投票日までに1億人前後に達する可能性があり、郵便投票の激増は、勝敗の結果判明の遅れにつながる恐れがある。

◆期日前投票1億人か

 民主党のバイデン前副大統領(77)は29日、南部フロリダ州の集会で「まだ投票していない人は今日、郵送してほしい。(投票所で直接)期日前投票もできる」と呼び掛けた。
 米国勢調査局によると、期日前投票は4年前、全投票の計約40%を占め過去最も高い割合となったが、今回大幅に更新するのは確実だ。期日前投票の総数は、既に米大統領選史上、過去最多となっている。
 期日前投票に詳しい米ライス大のロバート・スタイン教授は、このまま推移すれば「期日前投票の利用者は1億人に上るだろう」と予測。中でも郵便投票が大幅に増え、期日前投票の3分の2を占めている。

◆郵便投票は民主が多数

 増加要因は全米で続く新型コロナの感染拡大を懸念し、大半の州が郵便投票の要件を緩和したことだ。スタイン氏は、郵便投票に反対する共和党のトランプ大統領(74)への民主党支持者の反発もあると指摘する。
 トランプ氏は、郵便投票の利用は民主党支持者が多く、増加は自らが不利になると考え「不正が横行する」と主張。非難する一方で危機感を募らせ、自らの支持者には投票所での期日前投票を働き掛けている。

◆二重封筒、サイン照合…集計作業煩雑

 郵便投票の増加で、集計作業の大幅な遅れも指摘されている。投票用紙は二重の封筒に入れられ開封に手間がかかる上、有権者登録時のサインと照合し本人確認する作業が必要で、集計に時間がかかる。
 このため多くの州では、投票日前から集計したり、集計はしないものの開封までは認めたりしている。だが、大統領選の勝敗を左右する激戦州の東部ペンシルベニア州や中西部ウィスコンシン州は当日まで開封も認めておらず、作業が遅れるとみられる。

◆締め切りに間に合うか…

 また、大量の郵便投票で配達の遅れも予想され、投票日の消印があれば、締め切りを投票日の数日後に設定する州もある。中西部オハイオ州は、10日後の11月13日の到着分まで集計。こうした州では僅差の競り合いになった場合、締め切りの期日まで勝敗を判断できないことになる。
 激戦州ペンシルベニア州では、民主党が投票日以降の到着分を集計できるように求めたのに対し共和党が反対。連邦最高裁は今月、投票日3日後の6日到着分まで集計延長を認めた。郵便投票が勝敗にかかわるような状況になれば、トランプ氏側が除外を求める訴訟を起こす可能性もある。

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