175年続く割烹や老舗居酒屋の閉店相次ぐ… コロナ禍が決定打

2020年10月31日 05時50分
 新型コロナウイルスの影響で飲食店の経営が悪化する中、東京でも多くの人に愛された老舗や有名店が相次ぎ閉店している。消費税率の引き上げに伴う利益の減少や、後継者不足などもあって厳しい経営が続いていた店がコロナにとどめを刺された格好だ。政府の支援策の息切れが響き、のれんを下ろした店もある。(嶋村光希子)

◆売り上げ減続き、店主「辞めるなら今」

 「状況が良くなるとも思えない。借金したくないしやめるなら今だなと…」。新橋駅前の居酒屋「新橋三州屋」(港区)の見米みこめ健司社長(60)は話した。9月で50周年を迎えたが30日に閉店。45年来の常連という川崎市の池川靖彦さん(75)は「会社員時代から毎月通った思い出の店。8カ月ぶりに来たら閉店でショックだが、最後に来られて良かった」と語った。

10月30日でのれんを下した「新橋三州屋」(東京写真部・隈崎稔樹撮影)

 4月以降の売り上げは前年比9割減。最近はやや持ち直したものの7割減が続いた。持続化給付金なども受け取ったが、人件費や家賃を「とても穴埋めできなかった」と見米さん。政府の「Go To イート」の恩恵を十分に受けるには予約サイトへの登録が必要で、60~80代の従業員に対応は難しかった。
 江戸時代に創業の「割烹 武蔵屋」(足立区)も9月末、175年の歴史に幕を下ろした。近くの西新井大師の参拝客の減少や宴会自粛が響いた。店主の江川彰一さん(61)は「『忘年会や新年会シーズンまでは』と踏ん張ってきたが、限界だった」と明かした。

◆年配客の外出控えが響く

 老舗を支えたのは主に年配客。感染を恐れて外出しなかったり、大人数の宴会を取りやめたりする中高年は多く、特に打撃を受けた。日本のビアレストランの草分け的存在の「レバンテ」(千代田区)などもコロナ禍に巻き込まれた。
 東京商工リサーチによると、30日現在のコロナ関連倒産のうち飲食業は全体の17%を占め最多。都道府県別では東京が最も多く、廃業や休業も後を絶たない。政府は各種支援金の縮小を検討しており、担当者は「資金が年末にかけて底をつく店もあるとみられ、倒産や廃業はさらに増える可能性がある」とみる。
 亜細亜大の横川潤教授(外食産業論)は「飲食業はそもそも利益率が低い。薄利多売でしのいできた店もコロナで客足が鈍り、課題が浮き彫りになった」と指摘。政府の「Go To イート」についても「ネットを使えない店や客は恩恵にあずかれない。本当に困っている人を助けられているか疑問」と話した。

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