<新型コロナ>クルド人困窮、命守る 「仮放免」で就労できず あす川口で相談会

2020年10月31日 07時42分

クルドを知る会が8月に開いた相談会。仮放免のクルド人らに給付金を渡した=川口市で(同会提供)

 新型コロナウイルス禍による経済の悪化は、川口市や蕨市で約千五百人が暮らすクルド人にも影響を与えている。そもそも入管施設からの「仮放免」の立場で就労できず、社会保障が受けられない人も少なくない。困窮する彼らの命を守ろうと、十一月一日に支援団体がJR川口駅前に「テント村」を設置、生活や医療、住居などの大規模な相談会を開く。(近藤統義)
 「月の半分はあった仕事が、コロナの流行後は七日くらいしかない。最大の問題は働けないことだ」。親戚ら四人で暮らす蕨市内のアパートで、クルド人男性(35)がため息をついた。
 クルド人はトルコで弾圧や差別の対象とされ、男性も「市民の権利が制限されているから」と二年前、妻と子ども二人を残して来日。在留資格を得て建設現場で働いてきた。しかし、コロナ禍で仕事は減り、泌尿器系の病気の治療費も高くついた。家族を呼び寄せたいが、今はアパートの契約更新に必要な九万円を十一月中旬の期限までにどう工面するか、頭を抱える。
 さらに深刻なのが難民認定を申請しても認められず、在留資格が与えられないままの仮放免の人たちだ。就労は禁止され、健康保険にも入れない。住民登録がないため、国による一人十万円の特別定額給付金も受け取れなかった。
 トルコに帰国すれば身に危険が及ぶ恐れもあるが、支援団体「クルドを知る会」の松沢秀延代表は「把握できる限りでは数十人が生活苦で帰国してしまい、日本語が分かり始めてきた子どもも一緒に帰るしかない。コロナの影響はものすごく大きい」と危惧する。
 クルド人からのSOSを受け、同会は五月から各家庭への訪問や公民館での相談会を始めた。外国人を支援する東京のNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」などからの給付金を、仮放免者を中心に七百人以上に渡してきた。
 また、貧困問題などに取り組む十五の団体と連携し、「クルド人の生存権を守る実行委員会」も発足。十月二十七日に川口、蕨両市に、在留資格の有無を問わない生活保護の適用や、ホームレス状態にある外国人向けの住居の確保などを求める申し入れを行った。
 川口市は「現状のルールを逸脱した適用はできず、対応は難しい」と応じたが、実行委共同代表の藤田孝典さんは「現実に命の危機がある人を守るのが福祉の最優先課題。さまざまな事情で来日した人たちを包摂する方向に変えていくべきだ」と訴える。
 十一月一日のテント村は実行委が主催し、川口駅東口のキュポ・ラ広場で午前十時〜午後四時。支援者や医師、弁護士らが国籍を問わず外国人の相談に乗る。食料も配布するほか、学用品などの寄付も受け付ける。クルドを知る会は活動資金も募っている。
<クルド人> トルコやイラクなどにまたがる地域に住み「国を持たない最大の民族」と呼ばれる。迫害を逃れて1990年代初めから来日し始めた。支援団体などによると、日本で難民認定された例はなく、強制送還の不安にさらされている。入管施設での長期収容も問題化している。

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