44年、毎月届く善意の「志」 安中・松井田東中に匿名封書で3000円

2020年10月31日 07時48分

届いた封書の束を持つ中沢君(左)と小板橋君(右)。中央は田島校長=安中市の松井田東中で

 「志」とだけ記された便箋と三千円が同封された匿名の封書が毎月、安中市立松井田東中学校に届けられている。一九七六年三月一日に初めて届いてから現在まで四十四年七カ月、五百三十五回に及ぶ。匿名の善意は生徒たちのために使われており、田島浩之校長は「見返りを求めない姿勢が心打たれる。いつまでもお元気でいてほしい」と話す。(樋口聡)
 毎月末に届く封書は白の封筒に宛先だけ記され、差出人の名前はない。性別、年齢、職業など推測できるものもない。同封金は当初二千円だった。
 同中は、児童文学「あしながおじさん」にちなんで「あしなが基金」として積み立て。八一年には十五万円超となったため百科事典を購入し、図書室に「あしなが文庫」を設置した。その後も三年生を送る会などに利用され、今年は熱中症対策として保健室の製氷機購入補助に利用するなど、多岐に利用されている。同中では、差出人は卒業生かゆかりのある人ではないかと推察されている。同中OBで、七年間教員として勤務した経験もある田島校長は「基金のことは昨年に校長として赴任するまでまったく知らなかった。安易には使えない。生徒のためにどう使うか考えた」と話す。
 同文庫が一般蔵書に紛れてしまっていたため、田島校長は「本に親しむきっかけづくりと生徒の心を揺さぶるものになれば」と再整備を決めた。新型コロナウイルスの影響で修学旅行などの行事が中止になる中、生徒に全校集会で基金のことを説明。「こんな時だからこそ、みなさんの心が読書を通し温かくなるよう『あしなが文庫』を復活させたい」と呼び掛けた。
 生徒会長の中沢昊太郎君は取材に「より良い学校生活を考えてくれる気持ちに応えたい」と感謝。同文庫は生徒からリクエストを募っているといい、小板橋颯図書委員長は「教材用としても長く大事に使わせてもらう」と話した。

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