お菓子の魔法に癒やされ Eテレ「グレーテルのかまど」10年目に

2020年10月31日 07時42分

11月2日放送分から。ベートーベンが好んだスイーツ。サクランボやリンゴなどのコンポート  

 「作家・向田邦子の水ようかん」「津軽おばあちゃんのリヤカーアイス」などお菓子にまつわるさまざまな物語を紹介してきたNHK・Eテレの教養娯楽番組「グレーテルのかまど」(月曜午後十時)が今年、放送十年目を迎えた。普段口にする何げないお菓子を巡り見えてくるのは、著名人の意外な一面や土地の食文化を育んだ人の営み。視聴者から継続を求める声が絶えないという人気番組の舞台裏をのぞいた。
 「人の悲しみを癒やしたり、ちょっとそこにあるだけで場が和んだり。お菓子そのものに魔法の力があるのかもしれないと妄想を膨らませながら制作しています」と話すのは、上田和子チーフプロデューサー(CP)。
 番組は二〇一一年十月にレギュラー放送を開始。有名なグリム童話で、魔女をかまどに押し込み苦境を打開したグレーテルに、現代社会で仕事や子育てに忙しく追われる女性を重ね合わせ「どこにでもいるグレーテルが疲れたときや悲しいときにふっと癒やされる番組を」と企画された。

▽身近に

 舞台は、東京の片隅の一軒家。小さなキッチンに宿るかまどの精(声・キムラ緑子(みどりこ)=写真(右))と十五代ヘンゼル(瀬戸康史(こうじ)=同(左))が毎回お菓子を巡る実話をたどりながら、外でバリバリ働く姉グレーテルのためにスイーツ作りに挑む。
 これまで登場した著名人は児童文学作家の角野栄子や漫画家の一条ゆかり、雅楽師の東儀秀樹ら。多彩な顔ぶれに驚かされるが「この番組だから」とオファーを受ける出演者も少なくないという。視聴者からの問い合わせは、青を基調としたキッチンの小道具に関するものが最も多く、スタイリストの本多敦子は「ファンタジーの世界だけど、視聴者の方々が身近に感じられる現実感を大切にしている」と語る。

▽息ぴったり

 何より人気を支えるのは瀬戸とキムラだ。視聴者を楽しませる息ぴったりの掛け合いは、実は「アドリブが満載」(上田CP)。二人とも撮影に臨む際は役作りせず「ほぼそのまま」と語り、制作スタッフも魅了されるという自然なやりとりは初回から実現した。
 瀬戸は「人としても役者としても番組が見守ってくれている」と振り返り、キムラは「こんなに楽しくやれる番組が十年も続くなんて奇跡」と感嘆。別々のインタビューだったが、それぞれ番組を「癒やしでありホーム」(瀬戸)、「安らぎ」(キムラ)と評し、温かい絆を感じさせた。
 紹介したレシピは約二百七十に及ぶが「人の数だけお菓子の思い出があり、まだまだ尽きない」と上田CP。いまだ姿を見せないグレーテルについて問うと「見ているあなたがグレーテルだから」とにっこり笑った。

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