「城の伝説」御城印に 横浜の歴史講師デザイン 地域のファン増加に期待

2020年11月2日 07時16分

9月末までに県内で発行された25種類の御城印=本人提供

 城の訪問の記念に購入する「御城印」が人気を集めている。多色刷りの考案、通信販売など普及活動が拡大し、県観光物産協会もホームページ(HP)上で紹介するなど後押しする。御城印が地域活性化の起爆剤になることが期待される。(鈴木みのり)
 御城印は、一枚三百円程度のはがき大のお土産。和紙の中央に毛筆体で城名が書かれ、そこに城主の家紋が押されることが多い。三十年ほど前に長野県松本市の松本城が販売を始めたとされ、神社仏閣の御朱印の人気が高まるとともに、この数年で注目されるように。県内では、六月時点は十五種類程度だったが九月末には二十五種類と急増中。売り上げも伸びており、各地域の城郭保存資金などに活用されている。

県内で御城印を広めようと活動する山城ガールむつみさん

 県内での御城印の普及活動の先頭に立つのは横浜市の歴史講師、山城ガールむつみさん(41)。山城が好きで、地元の神奈川県で城郭保存の活動をしている。千葉で活動を始めたのは今年四月。むつみさんがデザインした御城印を見た千葉の自治体などから声を掛けられたのがきっかけだった。
 むつみさんによると、他県では都市開発によって崩される山城が多いが、千葉には当時の姿をとどめたものが多く残っているといい、「千葉は観光資源が少ないと言われがちだが、お城に活路がある」と話す。
 現在、取り組んでいるのが、色鮮やかな御城印のデザインの考案。通常、御城印は城名などの文字と朱色の家紋の二色刷りだが、むつみさんは城にゆかりのある絵柄を加える。鋸南町に城跡がある勝山城は、隣接する勝山港の遠景を薄い青色で描いた。食料運搬や水軍出撃拠点の港が当時の住民にとって生命線だったことに着想を得た。
 「一枚に城の伝説を詰め込みます」とむつみさん。これまで購入者は高齢男性が多かったが、最近は若者や女性も増えた。御城印をきっかけに「歴史に興味を持つようになった」という収集家もいる。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、通信販売も始めると、全国から注文が舞い込み、遠方の人から「いつか実際に行ってみたい」とメールをもらうこともあるという。
 むつみさんの活動に賛同し、県観光物産協会も動き始めた。七月に公式サイトに県内全ての御城印を紹介するページを設立。担当者は「一挙に紹介することで、一つの場所ではなく県内のさまざまな場所に足を運んでもらいたい」と狙いを語る。各城の歴史や御城印のデザインの由来も解説。「地域のファンが増えれば」と意気込む。
 同協会やむつみさんらが掲げる目標は、県内の御城印の種類を五十まで伸ばすこと。むつみさんは「御城印は昔の人の声を伝える通訳。歴史を知ることで、住みたいと思うきっかけになれば」と話す。

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