3倍の不平等を許せるか

2020年11月2日 07時16分
 住む地域により異なる一票の価値を正そうとするのが「一票の不平等訴訟」だ。原告である弁護士事務所勤務の鶴本圭子さんは二〇〇九年以降、すべての国政選挙で選挙無効訴訟を起こしてきた。十月下旬には昨年の参院選をめぐる訴訟の弁論が最高裁であった。
 鶴本さんが法廷で述べたのは、不平等がむしろ悪化している現状だ。例えばある選挙区を一票とすると、宮城は一三年選挙で〇・五一票の価値だったのに、一六年と一九年の選挙では〇・三四票へと後退している。つまり三分の一の価値しかない。
 「国政は国民の多数意見に基づいて行われる。多数決を採るためには一人一人の一票が等価値でなければなりません」
 法廷での鶴本さんの言い分はもっともである。米国の連邦最高裁では一七年にノースカロライナの連邦下院議会選挙区割りで「違憲」判断が出たこと。オーストリアの憲法裁判所でも一六年に大統領選挙での選挙無効を言い渡したこと。英国最高裁で一九年に首相が議会を五週間も閉会したのは違法としたことなども、上申書で紹介した。
 つまりは司法が独立し、法の支配が存在していることの証しであると…。はて最大三倍もの格差を許容する日本の選挙とは何なのか。司法が公明正大で独立した健全な判断をしているか。そんな疑問さえ投げかける主張だったと思う。 (桐山桂一)

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