「おうちでプール」進まなくても伸びる技術 3連覇目指す北條巧 <トライアスロン日本選手権・進化①>

2020年11月3日 05時50分
 指導者はいない。自ら練習メニューを考え、試合を終えれば自省する。中学生のとき、スイミングスクールのコーチから「自分で責任を持って考えてやってみな」と言われた教え。だから、日本選手権男子2連覇中の北條巧はコロナ禍で練習が制限されても、慌てることはなかった。

2019年の日本選手権で連覇を達成した北條巧=東京都港区で

 「ずっと一人で練習を考えてやってきた。習慣というか、今までのことがあったのでこの期間に生きたかな」
 東京五輪の延期が決まった3月下旬。半年先まで、1週間単位の細かいメニューを作った。ランは5000メートル13分台を狙い、厳しいトレーニングを自らに課した。

◆コロナ禍で東京離れて埼玉へ

 人が多く感染リスクの高い東京を離れ、実家の埼玉県北本市へ。外でランニングはできる。バイクもこげる。だが、緊急事態宣言が発令され、プールは全て閉鎖された。泳げない。「どうしよう……」。そんなとき、写真共有アプリ「インスタグラム」で競泳の瀬戸大也が「自分専用のプール完成」と題した動画をアップしていた。
 縦3メートル、横2メートル、深さ75センチ。ビニールでできた「おうちプール」。すぐに購入した。実家の庭に置き、ゴムチューブで柵と腰をつなぎ、狭い中で黙々と泳ぐ。インターネットを見ると、同じプールを使う人が書き込んだ「同じ床を見て何時間も泳げない」と泣き言のようなつぶやきもあった。1日1時間。水かきの速度を100回ずつ変化させたり、10分ごとに意識する部分を変えたり。飽きないよう、普段の「考える」を実行した。

外出自粛期間中、「おうちプール」でスイムの練習をする北條巧=本人提供

 「おうちプールだと(前へ)進まない分、自分の泳ぎが見える。手の動き、水をかき、つかむことを確認する時間が増えました」
 10月上旬、8カ月ぶりとなる試合に出場すると「あれ、水泳伸びたかな」と感じたという。より考え、工夫し、練習に励んだこの7カ月。3月末に作成したメニューを全てこなしてきた。
 「結構きつい(メニュー)かなと思ったけど、3種目できた。コロナ禍でも技術面で成長できた。それは自信を持っているところ。優勝は前提で、内容にもこだわりたい」
 男子史上2人目の3連覇へ。日本のライバルたちを相手に成果を披露する舞台となる。(森合正範)

ほうじょう・たくみ 博慈会・NTT東日本・NTT西日本所属。2018年アジアU23選手権で優勝。19年アジア選手権で準優勝。19年NTTジャパンランキング1位。24歳。埼玉県北本市出身。

◆トライアスロン日本選手権は11月8日に東京で開催

 トライアスロンの第26回日本選手権(日本トライアスロン連合、東京新聞・東京中日スポーツ主催)が11月8日、東京都港区台場のお台場海浜公園特設会場で行われる。通常の距離の半分となるスプリント(25.75キロ=スイム0.75キロ、バイク20キロ、ラン5キロ)で実施する。

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