フロリダを制する者が選挙を制す 米大統領選・投票直前ルポ

2020年11月3日 05時50分
 米大統領選で過去にも勝敗を決定づけてきた最大のスイングステート(揺れる州)南部フロリダ州で、共和党のトランプ米大統領(74)と民主党のバイデン前副大統領(77)が3日の投票日を前にデッドヒートを繰り広げている。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、最終局面でさらに加速した競り合いの現場を歩いた。(同州サムター郡で、金杉貴雄、写真も)

◆新型コロナで「トランプは対応できず」「狂っている」

 街中の道路をゴルフカートが列をなして行き交い、道の左右には美しいゴルフコースが広がる。フロリダ州サムター郡の高齢者向け分譲住宅地「ビレッジズ」。全米最大の退職者コミュニティーには、全米から高齢者たちが移り住む。住民のほとんどが白人で、65歳以上が56%を占める。
 同郡は伝統的に大統領選で共和党候補が圧倒的に強い地域。2012年に同州を制したオバマ氏も、2倍以上の大差をつけられた。
 ところが、ビレッジズの期日前投票所を訪れると「異変」が起きていた。トランプ氏に厳しい視線が注がれていたのだ。新型コロナが高齢者を直撃した影響だ。

自家用車でバイデン氏への支持を呼びかけるイベントに参加した支持者=いずれも米南部フロリダ州サムター郡で

 「トランプ氏は新型コロナに全く対応できていない」。長年の共和党支持者アン・レイダーさん(76)は憤りをみせた。ゴルフカートで夫グラントさん(77)と訪れた期日前投票所で、ともにバイデン氏に投票した。同じ共和党支持者のメアリー・デービスさん(72)も感染防止策を軽視するトランプ氏を「狂っている」と酷評した。
 トランプ氏は4年前、フロリダ州で65歳以上の高齢者で17ポイントのリードを築いたが、10月のモンマス大の世論調査ではわずか4ポイントと一変。自家用車でバイデン氏の支持を訴えるイベントに参加したドン・デビュさん(69)は「多くの人がトランプ氏にうんざりしている」と語った。

◆20日間で6回の集会 トランプ陣営巻き返しは届くか

トランプ氏を応援するグッズ販売店前で風に揺れる多くの旗

 トランプ氏は4年前、フロリダ州で勝利したもののわずか1.2ポイント差。新型コロナ対応への批判もあり、今回はさらに厳しい戦いに見える。だが、危機感を募らせたトランプ氏と共和党は集会や戸別訪問などの「地上戦」で激しく巻き返している。投票に必要な有権者登録の4年前からの増加数は、共和党が民主党を20万人上回っている。
 郵便投票を含む期日前投票でも逆襲している。フロリダ州でも期日前投票は激増し、中でも郵便投票は民主党員が共和党員を65万人上回っている。一方、投票所での直接投票では逆に共和党員が56万人上回り、合計ではほぼ並んだ。「4年間の仕事ぶりは素晴らしかった」。トランプ氏の応援グッズ販売店を訪れたビル・マーチンさん(77)も既に投票所で投票を済ませたという。
 1928年の大統領選以降、フロリダを落とし勝利したのは民主党のケネディ、クリントン両元大統領のみで、共和党では皆無。仮にトランプ氏がフロリダで負ければ、勝利の可能性はなくなるといわれている。
 トランプ氏は1日、深夜にマイアミに駆けつけ大規模集会を開催。フロリダでの集会は20日間で6回目だ。バイデン氏も10月29日にフロリダ入りし訴えた。同州では1日現在の支持率平均でバイデン氏が1.4ポイントリードしている。

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