首相、迷走する任命拒否理由 野党「国会国民を愚弄」学術会議問題

2020年11月3日 05時50分
 日本学術会議の新会員任命拒否問題は2日、衆院予算委員会に舞台を移して論戦が交わされた。菅義偉首相は自民党と歩調を合わせて学術会議のあり方に批判の矛先を向け、野党は政権への異論封じを狙った違法な人事だとして追及。6人の任命拒否の理由は明らかにならなかった。(木谷孝洋、川田篤志)

■既得権

「閉鎖的」「既得権益」。首相がこの日、新会員の任命拒否の正当性を主張するのに、繰り返し使ったのがこの言葉だ。
 学術会議の組織見直しを訴える自民党の大塚拓氏は、新会員候補者は現会員らが推薦した者が大半を占める現行の選考システムに問題があると指摘。「特定の既得権集団がポストをたらい回しにしている」と語気を強めた。
 首相は呼応する形で会員枠が既得権益化しているとの認識を示し「前例踏襲はやめるべきだと判断した」と任命拒否の狙いを説明。官房長官時代から会員選考の現状に懸念を持っていたとも述べ、組織見直しに意欲を見せた。立憲民主党の今井雅人氏は「組織の話をするのは論点のすり替えだ」と反発した。

■迷走

 組織論には冗舌だった首相だが、任命拒否の理由に関しては歯切れの悪い答弁を繰り返した。
 今井氏は、菅氏が自著でNHK改革に反対した官僚を更迭したという総務相時代のエピソードを明らかにしていると指摘。今回も同様に説明すべきだと迫ったが、首相は「(教授らの)公務員への任命と、既に公務員である人の人事異動は異なる」と応じなかった。
 首相は学術会議の多様性を確保する観点から6人を任命拒否したと説明しているが、6人には「少数派」の私大所属も含まれている。この点についても、首相は「個々人について答えは控える」と繰り返した。若手研究者が少ないと言いながら、53歳の宇野重規東大教授は若手に当たるか問われると「認めない」と答弁。直後に加藤勝信官房長官が「若手かどうか答えられない」と修正するなど迷走する場面もあった。

■キーパーソン

 今井氏は「いいかげんで肝心なことは何も答えていない。ますます疑惑が深まった」と首相を批判。共産党の小池晃書記局長は記者会見で「(質問を)門前払いする姿勢は、国会と国民を愚弄すると言われても仕方がない」と強調した。
 野党は事務方トップの杉田和博官房副長官が真相究明の鍵を握る「キーパーソン」と見定める。与党はこの日の衆院予算委の理事会でも杉田氏の国会招致を認めなかったが、野党側筆頭理事の立民の辻元清美氏は記者団に「承服しかねる」と招致を求めていく考えを示した。

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