ロタワクチン、定期接種に 赤ちゃん原則無料 初回は生後2カ月目安

2020年11月3日 07時22分

ロタワクチンを口から飲む赤ちゃん=名古屋市で

 乳幼児が激しい下痢や嘔吐(おうと)に苦しむ急性胃腸炎の主な原因、ロタウイルス。重症化を防ぐワクチンが十月から、国などが公費で助成する定期接種になった。八月以降に生まれた赤ちゃんは原則無料で受けられる。初回接種の標準的な時期は生後二カ月。流行する冬場を控え、効果と注意点をまとめた。 (吉田瑠里)
 十月半ば、名古屋市北区の総合上飯田第一病院。「生後二カ月になったので、四つのワクチンを接種しますね」。小児科部長の後藤泰浩さん(62)は、母親(31)に抱かれた女児に、B型肝炎、ヒブ、肺炎球菌のワクチンを打ち、ロタウイルスワクチンを飲ませた。
 後藤さんによると、ロタウイルスは五歳までにほとんどが感染する。冬から春にかけて流行し、水のような白い便が特徴。嘔吐や高熱を伴う。通常は一〜二週間で治るが、重度の脱水症を起こすこともある。母親は「無料で受けられて助かった」と笑顔を見せた。
 厚生労働省によると、国内では推計で年間約八十万人が感染。五歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち40〜50%がロタウイルスが原因とされる。感染を繰り返すうち免疫が付いて症状は出なくなるが、乳幼児が初めて感染すると重症化しやすい。二〇一五〜一九年の五年間で、五歳未満の死亡例は十八人を数える。
 ワクチンは二種類で、日本では一一年にロタリックス、翌一二年にロタテックが承認された。いずれも、ほぼ症状が出ないよう毒性を弱めた生ワクチンで、口から飲む。ロタリックスは二回、ロタテックは三回接種で、初回は生後六週から十四週六日までに、二回目以降は二十七日以上間隔を空けて接種する。
 自己負担が必要な任意接種の場合、ロタリックス、ロタテックとも計約三万円と高額だ。そのため、独自の支援をしてきた自治体もある。一二年十月から費用の半額を助成する名古屋市はその一つで、翌一三年度の接種率は八割を超えた。
 藤田医科大医学部小児科学教授の吉川哲史さん(59)は市内四病院を対象に、ワクチン導入前の〇七〜一一年と、助成開始後の一二〜一六年を比較した。それによると、接種時期に当たる一歳未満では、全ての入院に占めるロタウイルス胃腸炎の割合が72%減少。吉川さんによると、助成前の接種率は四割程度だったとみられ「接種率の上昇が入院の減った要因」と話す。

◆副反応 腸重積症には注意

 一方、先行してワクチンが流通した海外では、接種後に腸の一部が隣接する腸内に入り込む腸重積症の発症率が増えるという報告があった。一歳未満の腸重積症の発症率を調べた国の研究班代表で、富山県衛生研究所長の大石和徳さん(66)によると、国内ではワクチン導入前と後で大きな差はない。ただ「初回の接種後一〜二週間は腸重積症にかかりやすい」と指摘。「血がまじるいちごゼリーのような便や嘔吐、激しく泣くなどの症状が出たら、すぐ受診を」と訴える。
 子どもの定期接種は種類が多く、受ける時期も決まっている。ロタワクチンは、初回を生後二カ月で接種すれば、ヒブやB型肝炎、肺炎球菌のワクチンと同時にできる。「新型コロナウイルス感染を警戒し来院を避ける人もいるが、受けることが健康を守る」と後藤さんは呼び掛ける。

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