大阪都構想否決 大都市巡る議論続く

2020年11月3日 07時24分
 大阪市の存続が問われた「大阪都構想」の住民投票は五年前に続き、否決された。松井一郎代表が政治生命を懸けた日本維新の会には大打撃となったが、大都市制度のあり方は今後も模索が続く。
 大阪都構想は、府と市の「二重行政」を解消するため、大阪市を廃止して四つの特別区に再編することが柱。政令指定都市制度ができた一九五六年以降、五市から二十市に増えこそすれ、消滅例はない。賛成派は「行政コストの削減」を、反対派は「住民サービス低下」の恐れを訴えた。
 府・市で首長と議会の第一会派を握る維新と、二〇一五年の前回住民投票時の反対派から賛成派に転じた公明党が、自民、共産両党や連合などと相対した。各社の世論調査によると、反対派が徐々に巻き返した。維新の求心力や自公関係など国政にも影響が及ぶ可能性がある。
 新型コロナウイルスがまん延する中、住民投票を決行したことや、都構想の中身を十分に伝えきれなかったことへの反省も維新にはあろう。しかし、皮肉だが、維新の実績そのものが敗因になった可能性もある。
 一一年以降、三度に及ぶ知事と市長のダブル選で、維新は全勝。府・市の連携も奏功し、地下鉄やバス民営化などの行財政改革を進め、二五年の万博開催や大阪駅前の再開発に道筋を付けた。こうした二重行政を感じさせない行政運営が逆に、有権者をして、市の消滅を逡巡(しゅんじゅん)させたのではないか。
 人やモノが集中する大都市は交通網やインフラの充実が不可欠。行政コストがかかり、権限や財源の拡大を求めがちだ。大阪を含む五大都市は戦後すぐ、「二重行政の弊害」を訴え、府県からの独立を模索した。府県は「完全独立」は許さず、八割ほどの権限移譲による政令市制度に落ち着いた。
 少子高齢化は今後、都市部も襲う。富の再分配を期待される大都市のジレンマは解消されない。団塊ジュニア世代が六十五歳以上となる二〇四〇年を見据えた総務省の「自治体戦略2040構想研究会」は一八年、都市圏が維持できるサービスや施設の縮減は不可避と指摘している。
 大阪都構想に「三度目の挑戦」はないという。愛知・名古屋や新潟、静岡の県市を一元化させる構想や、道州制も今や立ち消え状態だが、横浜市など「特別自治市」として“独立”を模索する政令市もある。大都市行政を巡る議論は終わらない。

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