夫婦別姓の導入・議論を求める意見書が地方議会で増加
2020年11月4日 06時00分
夫婦が希望すれば、結婚前の姓を名乗ることを認める「選択的夫婦別姓」制度を巡り、政府に導入や議論を求める地方議会の意見書の数が、9月時点で昨年を上回った。夫婦同姓を義務付けているのは世界でも日本だけとされ、厚生労働省の調査では96%は女性が婚姻時に改姓している。働く女性の旧姓使用の不便さや1人っ子同士の結婚による姓の継承問題などから、別姓の制度を求める声が高まっている。(奥野斐)
衆議院事務局請願課によると、地方議会からの選択的夫婦別姓(別氏)制度の導入、議論などを求める意見書は今年に入り、10月26日の臨時国会開会日までの受理分で47件に上った。2018年から増加し、今年は9月に昨年の39件を超え、今後さらに増える見込み。意見書は、神奈川県など都道府県議会や、全会一致の可決も目立つ。
制度導入の機運が高まるきっかけは、最高裁が15年、民法の夫婦同姓規定を合憲としながらも、制度について国会での議論を促したこと。17年の内閣府世論調査では選択的夫婦別姓を導入する法改正に反対は29・3%にとどまり、特に30代では賛成・容認が52・5%と過半数だった。
政府はこの間、旧姓の通称使用を拡大してきたが、法的根拠がない旧姓では不利益や混乱を生じたり、手続きなどの煩雑さ、行政側のコストもかかるなど問題点が指摘されている。
9月に広島高裁であった選択的夫婦別姓訴訟の判決では、地方議会の意見書について重く受け止めるべきだとした。また橋本聖子男女共同参画担当相は10月、導入に向けた議論に取り組む姿勢を示した。
市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の井田奈穂事務局長は「地方議会でこれだけ意見書が可決されているのは民意の表れ。選択制では同姓を望む人はそうすればよく、誰も困らないはず。女性だけの問題と思わず自分が改姓する前提で議論してほしい」と求めている。
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