快適な旅に「新基準」 宿泊先コロナ対策 客同士「密」避ける

2020年11月4日 07時22分

仕切りを挟んで宿泊客に対応する従業員=三重県鳥羽市の戸田家で

 秋が深まり、旅行にぴったりのシーズンになってきた。気になるのは新型コロナウイルス。宿泊施設などが独自の感染対策をアピールする動きが広がり、滞在先選びの新たなポイントになりつつある。旅行者も、観光業界が呼び掛けるエチケットを守ったり、混雑しないように行き先や時期をずらしたりして、快適な旅を楽しみたい。 (河郷丈史)
 鳥羽湾を望む創業百九十年の老舗温泉旅館「戸田家」(三重県鳥羽市)。入館時の検温や館内のマスク着用など基本的な感染対策を徹底するほか、三十分ごとに館内放送を流し、全従業員に消毒と換気を呼び掛ける。混雑を避けようと大阪からマイカーで夫婦旅行に来ていた男性(70)は「きちんと対策を取っているのか、事前に確認した。安心して過ごせそう」と話す。
 取り組みは同旅館のホームページのトップ画面で、従業員がエレベーターの押しボタンやロビーのいすなどを消毒する様子の写真も交えて紹介されている。寺田順三郎社長(68)は「安心のためには情報を伝えることが大切。販売の強力なツールにもなる」と狙いを話す。
 一部の旅行予約サイトでは、こうした施設の取り組みを一覧できる機能を新設。楽天が運営する「楽天トラベル」は、各施設のページにある「新型コロナウイルス対策について」のボタンをクリックすると、客室や食事、風呂場、チェックイン・アウト時といった項目別に対策が表示される。独自の衛生基準の導入など、それぞれの施設ならではの取り組みもある。
 楽天が五月に実施した意識調査によると、回答した約二千八百人のうち、コロナの流行で宿泊先を選ぶ条件を「変えると思う」とした人は約三割。消毒の徹底や分かりやすい説明を求める意見が目立ち、感染対策を基準に宿泊先を選ぶ傾向が見られるという。
 旅行ジャーナリストの村田和子さん(51)は「施設内で感染者が発生すれば死活問題。施設も交通機関もかなり高い水準で対策を進めている」と指摘。一方、旅行者の間では感染リスクへの意識に温度差もあり、他の客がいる場所でマスクをせずに騒ぐなどして、客同士でトラブルになるケースもあるという。「安全に旅行を楽しめるかどうかは、旅行者一人一人の協力にかかっている」と説く。
 どんなことに気を付ければいいのか。観光業界団体などでつくる旅行連絡会は緊急事態宣言解除後、公共交通機関の利用や宿泊、飲食など場面別の留意点をまとめた「新しい旅のエチケット」を公表。電車やバスなどで移動中の会話を控えめにすることや、座席を向かい合わせないこと、土産品はなるべく触れずに目で見て選ぶことなどを挙げ、国の観光振興事業「Go To トラベル」のホームページなどで紹介している。
 こうしたエチケットを守ることに加え、人気観光地以外の隠れた名所を訪れたり、比較的すいている早朝に出掛けたりと、混雑しがちな場所や時間をずらすことも効果的。予約制を取り入れている施設なら、行列で待つこともなく、スムーズに観光ができる。村田さんは「混雑している所に行くのは、旅行者にとってもメリットがない。密を避けることが、結果として旅行の満足感を上げることにつながる」と話す。

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