分断か団結か…真逆のアメリカ像対決 トランプ、バイデン両氏の歩みと舌戦を振り返る

2020年11月4日 11時30分

1日、米ペンシルベニア州フィラデルフィアで演説するバイデン前副大統領(左)と米ペンシルベニア州ニュータウンで10月31日、選挙集会に登壇したトランプ大統領(いずれもAP)

 2020年の米大統領選は3日、新型コロナウイルスによる感染拡大と人種差別に抗議する激しいデモが広がる中で行われた。再選を目指す共和党のトランプ大統領(74)と民主党の候補に選ばれたバイデン前副大統領(77)の、歩みと舌戦を振り返った。 (ワシントン・岩田仲弘、金杉貴雄)

◆通常は「現職有利」 トランプ氏は自ら難題招く

 「米国を偉大なままに」。トランプ氏は昨年6月、激戦州フロリダで再選への挑戦を正式に表明した。第2次大戦後、再選を目指した現職のうち8人が成功し、失敗したのはフォード、カーター、ブッシュ(父)の3氏のみ。通常は圧倒的に有利だが、トランプ氏は数々の難題を自ら招いた。
 まず、ウクライナに対して軍事支援の見返りにバイデン氏に関する捜査を行うよう求めたとして、史上初めて「弾劾訴追を受けた大統領」として再選に挑むことを迫られた。
 今年2月には新型コロナの脅威を認識しながら「パニックを起こしたくなかった」と軽視。死者が20万人を突破し、自ら感染してもなお、経済再開を優先させる方針を貫いた。
 黒人男性が白人警官による暴行で死亡した事件を機に広がった抗議デモを「過激な左派」による扇動と決めつけ、「法と秩序」を表向きの理由として鎮圧。実際には、敵と味方を明確に分ける分断戦略を徹底してきた。

◆民主党は候補者選びで二分 カリスマ性欠くバイデン氏

 バイデン氏は終始、「団結」を呼び掛けてきた。民主党の候補者選びの段階で党そのものが、中道派と左派に分断されていたからだ。
 初戦のアイオワ州党員集会から第3戦のネバダ州党員集会まで、左派のサンダース上院議員にリードを許し、窮地に追い込まれたものの、サウスカロライナ州で黒人からの支持を得て復活した。
 「打倒トランプ」が最重要課題の統一候補という位置付けで、カリスマ性には欠けるだけに、クリーンエネルギーへの大型投資をはじめ政策で左派に配慮するなどバランス維持に腐心してきた。
 コロナの感染予防を最優先に掲げるとともに、トランプ氏から「地下室にこもっている」と批判されても体調管理のために、大規模な支持者集会は最後まで控えた。一方、オンラインを通じた資金集めの会合を連日繰り返し、豊富な資金をテレビやネットの選挙CMにつぎ込んだ。

◆「史上最悪」のTV討論会で支持率差が急拡大

 トランプ氏とバイデン氏が直接対決するテレビ討論会は3回予定されていたが、初回に「史上最悪」(米メディア)の大荒れの舌戦が繰り広げられ、その後も前代未聞の展開を見せた。
 9月29日の第1回討論会でトランプ氏は、バイデン氏が話をしている最中に不規則発言を繰り返し延々と妨害。「左派の言いなりだ」「次男はウクライナ企業や中国の事業で報酬を得ていた」などと攻撃を続け、保守系FOXニュースのキャスターで司会のクリス・ウォレス氏が制止するのも聞かなかった。
 バイデン氏は「黙っていてくれ」と怒りを見せ、トランプ氏を「史上最悪の大統領」「うそつき」などと批判するののしり合いとなった。
 トランプ氏は支持率で劣勢の中、泥仕合でバイデン氏を立ち往生させ、失言を引き出す狙いだったとみられる。結果はトランプ氏に対する最悪の印象だけが残り、世論調査でバイデン氏との差が急拡大した。

◆最後の討論会でも対照的な答え

 予想外の事態は続く。この数日後には、トランプ氏の新型コロナ感染が判明する「オクトーバー・サプライズ(10月の驚き)」。一時入院し回復したものの、予定していた第2回討論会は中止になった。
 10月22日の最後の討論会はようやくまともな議論になった。だが、新型コロナ問題ではトランプ氏が「コロナと共に生きる」などと感染防止より経済優先を鮮明にしたのに対し、バイデン氏は死者がさらに増える恐れがあると感染防止策の重要性を訴えるなど、2人は相いれない全く異なる米国像を語った。
 「就任式の演説で、あなたに投票しなかった人に何を語るのか」。司会者からの最後の質問にも、2人の答えは対照的だった。
 トランプ氏が「国が成功すれば『反対側』の人も1つになりたがるのだ」と強調したのに対し、バイデン氏は「あなたが賛成したか反対したかにかかわらず、私はあなたの代表だと言うだろう」と「全国民の大統領」になることを誓った。

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