コーチとの絆は海も越えて 女子V3へ上昇 高橋侑子<トライアスロン日本選手権・進化③>

2020年11月5日 05時55分
 山に囲まれ、自然豊かな小さな町。日本選手権女子2連覇中の高橋侑子はポルトガルのモンテゴルドを練習拠点にしている。ポルトガル人のパウロ・ソウザコーチ率いる15人の多国籍チーム。練習はいつもにぎやかだった。

日本選手権で3連覇を狙う高橋侑子=東京都三鷹市で

◆離れても届く気遣い

 だが、チームメートは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、それぞれの母国へ。3月末、高橋も東京に帰ってきた。ソウザコーチからは1週間ごとに練習メニューがメールで送られてくる。必ず「心身ともに健康第一で」と気遣いの言葉が添えられて。
 「4月から6月までは自粛ムードの中、自宅で何ができるか。先が見えない中で、何をやるのかが難しかった」

◆危機から救ってくれたメール

 15人から1人になり、2カ月が過ぎたころ、孤独感が襲ってきた。単調な練習、次のレースがいつか分からず、モチベーションの維持が難しい。一人で3時間バイクに乗り続けていると「なんでやっているんだろう」と思うことも。そんなとき、ソウザコーチからメールが届いた。
 「どうだ、2週間くらい練習量を落としてみようか」
 精神的に疲弊しているのかもしれない。とはいえ、極度に練習量を減らすと不安になる。素直に胸の内を明かすと、すぐに返信が来た。
 「次へのステップへ進むため、プロセス(過程)として必要なことだよ」
 2週間後、本格的な練習を再開すると、不思議と体が動いた。これまで練習で追い込めなかったのがうそのよう。身も心も充電されていた。
 「泳げるし、バイクをこげるし、走れる。思っていた以上に練習を積めるようになっていた。やっぱりそういう時期が必要だったんだなと。このコーチについていきたいとあらためて思いましたね」

◆栄冠へ心身ともに万全

 深まったソウザコーチへの信頼感。休息後に待っていた飛躍。7月から男子ロンドン五輪代表の細田雄一(博慈会)らと合宿をこなすと、調子はグンと上がってきた。日本選手権に向け、「心身ともに健康」だ。
 「3連覇が大きな目標。こんな状況でもしっかり練習してきたぞ、というのを見せられるレースにしたい」。この7カ月の思いがこもる。ソウザコーチへ、優勝の吉報を届けるために。

たかはし・ゆうこ 富士通所属。法大時代に日本学生選手権4連覇。2016年世界大学選手権で優勝。17年アジア選手権、18年ジャカルタ・アジア大会はともに女子個人、混合リレーで2冠。19年NTTジャパンランキング1位。29歳。東京都三鷹市出身。

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