コロナ禍の欧州遠征で大きな収穫 東京五輪日本代表目指すニナー・ケンジ<トライアスロン日本選手権・進化②>

2020年11月5日 17時50分

9月の世界選手権で、20位でゴールするニナー・ケンジ=共同

 「オリンピックに出たい」。オーストラリア出身のニナー・ケンジが幼少期に抱いた夢。だが、当時描いていたものとは国籍も競技も違う。

◆日本国籍取得を申請中

 オーストラリア人の父、日本人の母を持つ。7歳からテニス、サッカー、体操などに励んできた。18歳から本格的にトライアスロンを始め、日本連合の人材発掘で見いだされ、もう一つの故郷で五輪挑戦を決めた。東京五輪へ向け、日本国籍取得を申請中。スピードとパワーがあり、潜在能力の高さは誰もが認めるところだ。
 「コロナ禍の約半年、そこまで制限を感じず、自分の練習を継続することができた。すごく成長したと思う」
 7月末から約20日間、長野県内で高地トレーニングを行った。スイム、バイク、ランの3種目で飛躍を遂げ、特にスイムは大きな手応えを感じたという。「積んできた練習の成果を世界のベストと戦って確認したかった」。9月5日、コロナ禍で行われたドイツ・ハンブルクの世界選手権に日本男子で唯一、出場を決断した。

◆表彰台目前、落車に巻き込まれたが…

 その後、チェコへ移動。ワールドカップ(W杯)カルロビバリ大会ではスイムを終え、バイクで好位置につけた。残り400メートル。「あとは得意のランだけ。集団には世界チャンピオンもいるし、このままいけば表彰台に立てる」。世界のトップとバイクで並走し、そう思った瞬間、前の選手の落車に巻き込まれた。
 「キャリアの中で最もいいレース展開をできていた。不運もあったが、成長を感じたし、大きな収穫があった」
 約1カ月半の欧州遠征中、計3レースに出場し、ノルウェーの代表チームと合同練習する機会にも恵まれた。
 「オリンピックはずっと見てきた夢。日本代表になって、ホスト国の東京五輪に出場できれば、素晴らしい。これは一生に一度しか回ってこないチャンスだと思っている」
 世界の強豪と競り合った経験と自信。五輪代表という夢から現実へ。積極的に挑戦し続けたこの7カ月だった。日本選手権へ向け、好調を維持している。「コンディションはすごくいい。絶対、いいレースができる」。日本語でそうはっきりと言った。

ニナー・ケンジ NTT東日本・NTT西日本所属。2018年12月から日本トライアスロン連合の選手としてレースに出場。山梨県内を拠点にする。19年11月、アジアカップ初優勝。19年NTTジャパンランキング8位。27歳。オーストラリア・パース出身。

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