首相、任命拒否と多様性「直結せず」 先週は「多様性を念頭に判断」 学術会議問題

2020年11月5日 21時18分
 日本学術会議の新会員任命拒否問題を巡り、菅義偉首相は5日の参院予算委員会で、会員が特定の大学に偏っているという自身の問題意識について「今回の個々人の任命の判断とは直結しない」と述べた。任命を拒否した6人には会員が1人もいない大学や女性の教授が含まれており、首相が重視すると語る「多様性」との矛盾が指摘されていた。野党は、首相の説明について「一貫していない」と批判を強めた。(井上峻輔、市川千晴)

◆野党は「一貫していない」と批判

 首相は予算委で、学術会議会員について「選考方法も閉鎖的で既得権のようになっている。(6人を除いた)99人を任命することで、結果として民間人や若手が増えることを期待している」と従来の説明を繰り返した。一方で「今回の判断と(多様性)は直結しない」と付け加えた。
 首相による任命拒否の理由の説明は変遷を重ねてきた。10月5日の内閣記者会のインタビューでは「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断した」と発言。「分かりにくい」などの声が相次ぐと、28日の衆院代表質問では「民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られることも踏まえ、多様性が大事だということを念頭に私が判断した」と強調した。
 しかし、多様性の重視と、6人の任命拒否との矛盾を指摘する声が多くあがった。首相は会員が1人もいない大学の教授や比較的若い50代の教授、女性を任命しなかったためだ。この日の参院予算委でも「言っていることとバランスが真逆の人事」(立憲民主党の蓮舫氏)と批判される中で、首相は「直結しない」との説明を加えざるを得なくなったとみられる。
 首相は、任命拒否の経緯に関して「以前は学術会議が正式な推薦名簿を出す前に内閣府との間で一定の調整をしていたが、今回はそうした調整が働かず、結果として任命に至らなかった者が生じた」と説明した。

◆6人除外協議の公文書「ある」

 加藤勝信官房長官は、6人の除外を事前に首相に報告した杉田和博官房副長官が内閣府と協議した際のやりとりを記した公文書があると明らかにした。蓮舫氏は提出を求めたが、首相らは人事に関する記録との理由で拒否した。
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