<ふくしまの10年・地図に残してはいけない仕事>(9)進まぬ汚染土の再利用

2020年11月6日 06時43分

防潮堤を想定した汚染土の再利用試験=南相馬市で、本社ヘリ「おおづる」から

 東京電力福島第一原発事故で福島県内各地で出た汚染土は、大熊、双葉両町にまたがる中間貯蔵施設へと無数のダンプで続々と運び出されている。既に発生量の六割以上が搬出された。
 仮置き場がなくなった自治体もあるが、発生した汚染土は大型土のうで約千四百万袋という想像するのも難しい分量。環境省は一キロ当たり八〇〇〇ベクレル以下のものは、道路や防潮堤などの「再生資材」として再利用し、県外で最終処分する量をできるだけ減らそうと動いてきた。
 同省の現地責任者を務めた小沢晴司さん(59)は、県や大熊、双葉両町と二〇一五年二月に結んだ協定書の存在を挙げ、「土壌は極力再利用して減らす必要がある。それが困難な時は県外で最終処分という約束」と話す。
 二本松市の農道や南相馬市の高速道路の資材として実験的に再利用しようとしたが、いずれも反対にあって進んでいない。
 原発の廃材を再利用する基準値は一キロ当たり一〇〇ベクレルなのに、汚染土はなぜ八十倍もの濃度が許されるのか。せっかく集めた汚染土をなぜ拡散させるのか。そもそも「三十年以内に県外で最終処分」の約束はどこへ行ったのか−。
 これらの疑問は積み残されたまま、日々、大量の汚染土が中間貯蔵施設に搬入され続けている。
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