3.11で止まった福島は今− 被災地伝える写真展 多摩区役所で9日まで開催

2020年11月6日 07時14分

野生化し、富岡町内を歩き回るダチョウ(写真展から)

 来年三月に発生から十年を迎える東日本大震災。復興が進んだ町があれば、原発事故などによる被害がいまだに収束する状況にない地域もある。福島在住の写真家が震災後の被災地の様子を伝える写真展「福島の記憶 3・11で止まった町」が五日、川崎市の多摩区役所で始まった。(安田栄治)
 福島県三春町の写真家・飛田晋秀(ひだしんしゅう)さん(73)は東京電力福島第一原発の事故以降、「事故を風化させない。状況をありのままに伝えなければ」と被災地を撮影し続けている。
 今回は、飼育されていたダチョウが野生化して同県富岡町内の道路を歩き回る姿、防護服を身にまといながら墓参りする同県大熊町の人たちなど七十点を出品。飛田さんの写真を見た同県内の小学生の感想文七点も展示している。

防護服に身を包みながら墓参りする人たち(写真展から)

 主催は多摩区を中心に活動している女性グループ「地域から平和を考える会」。震災後はほぼ毎年、原発事故に関する写真展を開催している。「震災から十年近くたち、人々の記憶、被災地への思いが薄くなっている。いまも避難している人たちがいるという現状を忘れてはいけない」と語る事務局の森悦子さん(72)。「その思いが飛田さんと重なった」と、十年の節目に飛田さんに作品提供を依頼したという。
 熱心に写真を見ていた同区の主婦(53)は「生で見ないと分からないことがこの写真からは伝わってきた。被災した人たちの真の声を知り、それを忘れないことが大事だと痛感しました」と話していた。
 写真展は九日まで。入場無料。同会は、原発から出る放射性廃棄物の問題を考えるドキュメンタリー映画「チャルカ〜未来を紡ぐ糸車〜」の上映会も十六日午前十時から、麻生区の市アートセンターで開く。同九時半開場。入場料八百円。写真展、上映会の問い合わせは、森さん=電080(6617)3997=へ。

展示された被災地の写真を見つめる女性=いずれも多摩区役所で


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