「コロナ節」共鳴じわり 米の日系女性ら作詞 沖縄民謡に願い込め

2020年11月6日 07時26分
 終息の兆しが見えない新型コロナウイルス禍、心をひとつにして乗り越えよう−。そんな願いを沖縄民謡のメロディーに乗せた歌「コロナ節」がじわりと浸透している。米国に暮らす沖縄出身の女性3人が温かいメッセージを詞に託した。この楽曲を知った沖縄の民謡歌手がラジオで披露し、動画でも配信したところ、海を越えて共鳴の輪が広がり始めた。CD収録も決まった逆輸入ソングは、コロナと闘っている世界の人々に届くか。 (藤浪繁雄)
 沖縄言葉でつづられた歌詞は、コロナ禍での過ごし方、心の持ち方などを穏やかに表現している。八重山地方に伝わる教訓歌「デンサ節」のメロディーに乗せた心温まる作品だ。
 詞を考えたのは、「オハイオ沖縄友の会」の里子・コートランドさん(72)、節子・ランニングさん(70)、秀子・ムーアさん(80)。今春、コロナ感染が猛烈に拡大し、外出規制など不自由な暮らしが続く中、里子さんが「みんなの心をつなぐ歌をつくってみない?」と呼び掛け、三人で「思い浮かんだことを書いて、出し合った」。その歌詞を三線(さんしん)愛好者で「シカゴ沖縄県人会」の米子・ケーブルさん(83)がアレンジして仕上げ、SNSで発信している。
 一九七三年に渡米した北大東村出身の里子さんは「沖縄民謡は元気が出るし、心を和らげてくれる。故郷を離れても忘れることはない」と格別の思いを語り、今回の作詞も沖縄の言葉にこだわった。

「作った皆さんの思いを共有していきたい」と話す仲宗根創

 オハイオ友の会では今年、春の集いやお盆の時にみんなで踊る「エイサー」などの恒例行事が軒並み中止になった。しかし、里子さんの家族と交流がある沖縄の民謡歌手、仲宗根創(はじめ)(32)=写真=が「コロナ節」を知り、「米国からウチナーンチュ(沖縄の人)ならではの温かい雰囲気の作品が届いた」と絶賛。自身がパーソナリティーを務める沖縄のラジオ番組で歌ったところ、リスナーの話題になった。その後、動画配信も始めると、沖縄だけでなく米国などからも反響が届くようになった。
 仲宗根は「沖縄では逆境の苦しみから人びとを励ますような音楽が生まれてきた歴史がある。素朴な味わいのコロナ節からも、心を慰めようという(作者たちの)真心が伝わってくる」と語る。二十五日発売のアルバム「沖縄ユーモアソング決定盤」に収録されることも決まった。
 太平洋を越えて広がるコロナ節に里子さんは「思ってもいなかったような展開で夢みたい」と驚きつつ、感染の波が一向に収まらない現状について「みんなが心を合わせることにつながれば」と祈りを込めた。
<コロナ節>
 一 コロナ節歌てィ 皆(んな)し肝(ちむ)あわち 守てィいちゅしどぅ務(ちとぅ)みどーやー 御願(うに)げさびら(※互(たげ)にちばらや)
《訳》コロナ節歌い みんなで心をひとつにして 守っていくのが務めだよ お願いします(※互いに頑張ろう)
 二 今(なま)ぬ浮世(うちゆ)や恐(うとぅ)るしむん コロナ戦(いくさ)に負きんなよ やがてィ薬(くすい)ぬ出来(でぃき)し 願(にが)てィ御待(うま)ちさびら(※)
 《訳》今の浮世は怖いもの コロナとの戦いに負けるなよ やがてワクチン出来るまで 祈って待ちましょう
 三 年寄(とぅすぅい)ん若者(わかむぬ)肝揃(すり)てィ 家(やー)に居(をぅ)しん世間(しきん)ぬ為(たみ) 健康第(でぇ)一 かながな語(かた)てィ遊(あし)ぶし願ゆん(※)
 《訳》老いも若きも心合わせて 自宅に居るのも世間のため 健康第一 しみじみ語り 遊ぶことを願う
 四 童(わらび)んちゃーん家ぐまい 手墨学問忘(てィしみがくむんわし)んなよー 親子揃(うやくすり)とてィ 学ぶしん親(うや)ぬ務みやんどー(※)
 《訳》子どもたちも外出控えて 自宅で勉強 親子で語り 親が教える教養しつけ
 五 コロナ節歌てィ 世界(しけ)ぬ国々 手(てィ)ゆ取(とぅ)やい 今どぅ我ったー 心結(くくるむし)ぶる時節(じしち)やんどー(※)
 《訳》コロナ節歌い 世界の国々手を取り合って 今こそわれら 協力しなければなりません

◆陽気な沖縄ソング集

 「沖縄ユーモアソング決定盤」=写真=は、沖縄民謡からユーモアあふれる曲を厳選した2枚組アルバム。陽気で笑える作品を集めたが、「コロナ節」と「ソーシャルディスタンス小唄」の2曲は、コロナ禍を反映した作品。3520円。

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