<食卓ものがたり>100年前のドイツの味 堪能 ソーセージ(千葉県習志野市)

2020年11月7日 07時27分

歴史を味わう名産として人気が高まっている習志野ソーセージ=千葉県習志野市で

 約百年前のドイツの味が楽しめる千葉県習志野市のご当地グルメ「習志野ソーセージ」。「『肉の味がしっかりする』と皆さん感激します」。市内の「欧風食堂タブリエ」店主、中島康敬(やすのり)さん(44)が笑った。
 基本の「習志野ソーセージ」は太さ約三センチ、長さ約十五センチのフランクフルト。ギュッと詰まった豚ひき肉の味付けは塩こしょうのみ。素朴な味わいで飽きがこない。皮の豚腸もかみ応え十分。「ザワークラウトや塩豚と一緒に煮込んでもおいしいですよ」
 首都圏のベッドタウン習志野市。一世紀前の第一次大戦中には、中国で捕虜となったドイツ兵ら最大約千人を収容した「習志野俘虜(ふりょ)収容所」があった。
 所内では、捕虜がソーセージ作りを行っていた。当時の農商務省が「高栄養価の食品になる」と着目。千葉市にあった同省畜産試験場が派遣した技師が、収容されていた職人のカール・ヤーン氏らから製法を学んだ。教えが全国の食肉加工業者に広まったことから、習志野市は「日本のソーセージ製法伝承の地」と呼ばれる。
 百年近い年を経て、再びソーセージにスポットライトが当たったのが二〇一三年。地域振興を図ろうと地元有志らが資料と格闘し、隣接市のソーセージ専門店の店主に再現を頼んだ。もともとは保存食で塩分は4%と高め。特徴を残しつつ、誰もが食べられるようにと塩分は2%とした。
 一六年からは、習志野商工会議所がレシピを基にメーカーに製造を委託。市内だけで五十以上ある取扱店などが販売し、年間十三万本を売り上げている。
 今年はコロナ禍によるイベント自粛で売り上げも低迷。商工会議所の原田真一郎さん(41)は「贈答用ギフトに力を入れ、習志野の味を全国に広めたい」と話している。贈答用ギフトはネット注文もできる。商工会議所ホームページの取扱店から。(問)商工会議所=電047(452)6700。 文・写真 砂本紅年

◆歩く

 「習志野俘虜収容所」は1915年に開設され、西郷隆盛の息子、西郷寅太郎大佐が所長を務めた。世界で大流行したスペイン風邪への対応で奔走したが、自身感染して亡くなった。収容所では、捕虜の文化活動が認められていた。オーケストラがベートーベンやモーツァルトを奏で、劇団はイプセンを上演した。スポーツも盛んだった。同市東習志野の公園には「ドイツ捕虜オーケストラの碑」=写真=がある。

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