<ふくしまの10年・地図に残してはいけない仕事>(10)出口見えぬ帰還困難区域

2020年11月7日 07時34分

福島県飯舘村長泥地区。除染が進むのは一部で、汚染土の再利用に向けた実証試験が進む=本社ヘリ「あさづる」から

 東京電力福島第一原発から三十キロ前後離れているのに、高濃度に汚染されたのが飯舘村だ。とりわけ村南部の長泥地区は許可なく立ち入りできない帰還困難区域で、部分的にしか除染が進んでいない。
 一方、汚染土の上に汚れていない土をかぶせて農作物を育て、影響の有無を調べる場ともなっている。まだ試験は進行中だが、既に村の別の地区から大量の汚染土が運び込まれている。問題なしとなれば、道路拡幅の資材にも使われる見込みだという。
 除染が進む復興拠点は三年後の避難指示解除を目指しているが、拠点外で具体的な除染計画はまだない。
 しかし、引退した菅野典雄前村長の旗振りで、拠点外も一括で避難指示解除する方向で話が進んでいる。村から避難指示がなくなる代わり、拠点外の住民は帰還して住むことも想定されていない。
 「国が責任をもって除染をし、戻れるようにする」。こう約束し、これまでに四兆円を投入した除染事業。だが、拠点外の十六軒に対し、約束が守られるのかどうか。まだ見えない。
 環境省の除染責任者だった小沢晴司さん(59)に疑問をぶつけると、「地元での塗炭の苦しみの中から提案があったことであれば、私がコメントすることはせんえつで回答は控えたい」と答えた。 =おわり
(長久保宏美が担当しました)
 ◆次回は10日掲載予定。ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

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