<調布陥没>住民説明会で不信感増幅 振動被害の全戸調査要求にNEXCO側は及び腰

2020年11月8日 06時00分

NEXCO東日本などが6日に続いて開いた2回目の住民説明会の受付=7日、東京都調布市で

 東京外かく環状道路(東京外環道)のトンネル工事のルート上にある東京都調布市の住宅街で道路の陥没や地中の空洞が見つかった問題で、工事を進める東日本高速道路(NEXCO東日本)は6、7日の住民説明会で、掘削機(シールドマシン)が石などのれき層にぶつかり、振動や騒音への苦情が増えたことを正式に認めた。ただ、工事と陥没・空洞との関係は不明とし、原因究明やさらなる調査を求める住民側は不信を募らせている。(花井勝規)

◆「掘削での騒音・振動への苦情あった」業者認める

 陥没・空洞があった付近では9~10月、前部の巨大な回転刃で地盤を掘り進むシールドマシンが通過。説明会の出席者らによると、NEXCO側は、シールドマシンのカッターが固い礫層にぶつかって動かなくなり、カッターを回転させるため気泡剤の濃度を上げるなどして対応したと説明した。
 東京外環トンネル施工等検討委員会・有識者委員会の小泉淳委員長(早稲田大学名誉教授)は5日の会見で、施工業者から9月下旬に掘削工事の相談を受けていたと説明。トンネル工事で「砂と礫に当たり、ゴツンゴツンとずっと上(の地表面)に振動や騒音が伝わり、陥没のあった場所のあたりでは苦情も増えていた」と明かしており、NEXCO側があらためて説明会で認めた。
 地元住民によると、現場近くを流れる入間川の周辺は1960年代に宅地造成が始まる前、「沼のようにぬかるんだ田んぼ」が広がっていたという。入間川周辺の住宅街は地盤が軟弱とみられ、工事の振動が原因と思われる亀裂や傾きなど、液状化をうかがわせる被害の訴えが多数出ていた。数年前にも地盤沈下によりアパートが傾いた例があったという。

◆元々軟弱地盤「調査したのか?」

 説明会では、住民から「工事に入る前に地質調査をちゃんとしたのか」「周辺の全戸を対象に振動被害の聞き取り調査をしてほしい」という要望が相次いだが、NEXCO側は「ご意見をうけたまわりました」「まずは原因調査を優先したい」と繰り返し、会場から非難の声が上がった。

10月18日に発生した市道陥没の現場周辺で続いている原因究明のためのボーリング調査=東京都調布市で

 有識者委員会による陥没原因の調査は、ボーリングなどを中心に12月まで続く見通し。シールドマシンが掘削工事で地下の土を取り込みすぎていないか掘削量を調査しているほか、地中の亀裂や空洞の有無、地下水流の量や流れの向きについても検討している。住宅街の造成に使われた埋土と地下水流との関連も詳しく調べる。
 東京外環道計画の見直しを求めている住民団体「野川べりの会」メンバーで元高校教諭(自然地理学)の早川芳夫さんは「今回見つかった空洞が以前からあったとは考えにくい。陥没・空洞の原因は、シールドマシンが過剰に土砂を取り込んで地中にすき間が生じたか、マシンの振動で水を多く含んだ沖積層などが揺さぶられ、液状化を起こした可能性が考えられる」と話している。

関連キーワード

PR情報