吉原二調鼓 江戸の響き後世に 元芸者の吉田睦子さん 「燈虹塾」が師範認定

2020年11月8日 06時42分

西徳寺での記念の演奏会で二調鼓の芸を披露する吉田睦子さん(左端)=台東区で

 江戸時代から奥浅草地域(台東区)に存在し、昭和に消滅した遊郭・吉原の伝統文化を後世に残そうと活動する「燈虹(とうこう)塾」は三日、元吉原芸者の吉田睦子(芸者名・二三松(ふみまつ))さん(77)を「江戸吉原二調鼓(にちょうつづみ)師範」に認定した。この日、吉原に近い西徳寺(竜泉一)で記念の演奏会があり、吉原花街で響き続けてきた音色を吉田さんが披露した。(井上幸一)
 奥浅草の住民らによる燈虹塾は二〇一八年に発足。西徳寺を拠点とし、「江戸吉原の経営学」の著者、日比谷孟俊(たけとし)・慶応大大学院元教授が代表を務める。
 二調鼓は、一人で大鼓、小鼓を奏でるお座敷芸。日比谷代表によると、吉原では遊女と芸者は分けられ、芸のみを本業とする吉原芸者が奏法を受け継いできた。一九五八年に遊郭の吉原はなくなり、九八年の料亭「松葉屋」の廃業で花街の吉原も消えた。それでも吉田さんは演奏を続け、体験型イベントなどで普及を目指してきた。
 「肩をすぼめながら守ってこられたのが吉原文化。『チーム吉原』で良いものを残していくのは大事で、その象徴が吉田さん」と日比谷代表。二調鼓の継承者と認めることで、後世に芸を伝えていく役割を託した。

吉田さんに贈られた「師範」を示す看板

 塾のメンバーで、吉田さんから二調鼓の稽古を付けてもらった邦楽囃子(ばやし)の望月太左衛(たざえ)さん(64)は「吉田さんは、タッチの違う硬、軟の二つの鼓をリズミカルに打ち分けられる」とその技を解説。「鼓は二つだが、生き方は一筋」と、人間性の素晴らしさに言及した。
 演奏会では、長唄の「鶴亀」「吉原雀(すずめ)」を演奏。吉田さんは、吉原最後の芸者・みな子姐(ねえ)さんから十三歳から厳しく教えを受けた昔を振り返り、「私一人なので、私ができなくなったら止まってしまう。伝統の二調鼓を続けてほしい。私がいる間はお教えさせていただく」と話した。
 吉田さんは燈虹塾に先立ち、「江戸吉原二調鼓保存会」からも師範の認定を受けた。塾のメンバーでもある保存会の吉原達雄会長(77)=吉原神社総代=は「江戸文化の中心は吉原。埋まっている魂を掘り起こし、新たに世に出していきたい」と認定の意義を語った。

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