特別報道部 木原育子 「民主主義の『芽』を育んで」

2020年11月11日 12時01分

首相官邸前などで、反原発を訴える「金曜デモ」を久しぶりに取材しました。
原発事故から10年の来年3月の節目で、抗議行動を休止することが決まったからです。
当時、デモに参加していた人たちにあらためて連絡しました。
「政治は変わらなかった」「就職してデモに行く時間がない」。
そんな声が多数を占めました。
人の心の中には、その時々に風が吹きます。
何かに失望し、取り残され、心の風向きが変わっていった人たちの率直な思いでした。
一方、こんな言葉も多くありました。
「今は行動に移せていないけれど、反原発への思いはずっとあります」。
時々の風に惑うことなく、誰に刈り取られることもない思いの「根」を
地中に太く強く根付かせる人たちでした。
これもまた、真実でしょう。
デモの中心メンバーだった女性の言葉は印象的でした。
「パラダイムシフト(劇的な転換)まで持ち込めなかった。心から悔やまれる」。
本当に悔やむべきことだったでしょうか。
原発ゼロは未達成ですが、稼働する原発は限りなくゼロに近い状態です。
2015年の安保関連法案への抗議行動など、官邸や国会前は声を上げるための
世論のうねりの舞台になりました。
民主主義の根を育み、地上に芽を出す人々の声を伝え続けることは、特別報道部の使命です。
権力側にとってお気に召さない紙面もあるでしょうが
部署名にあえて「特別」との言葉を預かる重みを噛み締めながら
息づく新たな芽よ、もっと伸びよと願う日々です。
※執筆記者の所属は2020年10月29日時点のものです。

関連キーワード

PR情報