足立区が生活保護廃止の男性に謝罪 「職員が誤った判断」

2020年11月9日 21時20分
 東京都足立区が、生活保護の利用が決まっていた30代のアフリカ出身の日本国籍男性が失踪したとして、生活保護を廃止した問題で、区は9日、廃止を取り消した。調査した結果、職員が誤った判断をしたと認め、長谷川勝美副区長が区役所で男性に謝罪した。
 近藤弥生区長も「安心して生活できる環境を損なわせ、深くおわびする」とするコメントを出した。

支援団体に男性の生活保護廃止の取り消しを説明する長谷川勝美副区長(左)=9日、東京都足立区で

 区によると、担当職員が10月上旬、生活保護の開始決定を男性に伝えるため、宿泊先のホテルに電話したが、不在だった。折り返しの連絡を求めるメモをホテルに託したところ、同月12日、ホテルから「男性は一時戻ったが、再び不在になった」と連絡があり、区は失踪したと判断、生活保護を廃止したという。
 困窮者の支援団体でつくる「新型コロナ災害緊急アクション」によると、男性はその間、ホテルや職場にいたが、電話のかけ方が分からなかった。廃止後にホテルを閉め出され、2泊の野宿を強いられたという。
 副区長は9日、緊急アクションなどの関係者と区役所で面談。副区長は「生活保護の廃止はホテルへの確認だけで十分だと、職員が思い込んだ可能性がある。複数の職員による会議ではなく、ケースワーカーと係長、課長で結論を出しており疑問がある」と説明。関係職員の処分について「しかるべき措置を取る」と述べ、担当職員の研修を強化するとした。
 緊急アクションの瀬戸大作事務局長は副区長に「コロナ禍で多くの人が住まいを失う中、路上に出た相談者に疑いの目を持った対応が他の自治体でもある。相談者に丁寧な対応を」と求めた。(中村真暁)

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