中国が抱く警戒と期待 トランプ氏への刺激を恐れ?祝電出さず<アメリカ大統領選>

2020年11月10日 06時00分
北京の人民大会堂で2013年12月、習近平国家主席(右)と握手するバイデン氏=AP

北京の人民大会堂で2013年12月、習近平国家主席(右)と握手するバイデン氏=AP

 【北京=中沢穣】中国メディアは米大統領選の開票結果について「米メディアがバイデン氏当選と推計」(国営新華社)など慎重な表現で報じた。中国の専門家らはバイデン政権でも対中強硬路線が続くことを警戒する一方、予測不能な外交手法のトランプ氏が退場し、関係がリセットされることに期待を寄せる。中国側が貿易協議の再交渉を求める可能性もありそうだ。
 習近平政権は、バイデン氏当確の報道から1日以上たっても公式な声明を出していない。外務省の汪文斌おうぶんひん副報道局長は9日の定例記者会見で「(祝電などについては)国際慣例に従って扱う」と明言を避けた。
 習政権の慎重姿勢は、2カ月強の任期を残すトランプ氏が敗北を受け入れていないため、刺激を避けたいものとみられる。中国紙・環球時報英語版は専門家の話として、トランプ政権が米中関係の後戻りを防ぐため、徹底的に関係を破壊する「最後の狂気」に出ることに警戒を呼びかけた。
 一方、汪氏は会見で、次期政権に向け「相互尊重の基礎の上、対立をコントロールするべきだ」と注文をつけた。専門家の間には、次期政権が「外交問題でより穏健で成熟した手法をとる」(中国人民大国際関係学院の金燦栄きんさんえい副院長)との指摘もある。英字紙チャイナ・デーリーの9日付社説は次期政権下での関係の「リセット」に期待を寄せつつ「貿易協議の仕切り直しが両国の相互理解と信用を修復するために欠かせない」と訴えた。
 しかし、トランプ政権で関与政策に見切りをつけた対中政策は、バイデン政権でも強硬路線が基調になるとみられる。バイデン氏は多国間主義を重視する立場を示しており、北京の米中関係専門家は「欧州や日本などの同盟国を巻き込み、対中圧力を高める可能性がある」と話す。人権問題を重視する民主党政権が、新疆ウイグル自治区や香港などをめぐって批判を強めることへの警戒感もある。

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