相思相愛な前駅 古今亭駒治さん

2020年11月10日 06時58分
 弘前を走る弘南(こうなん)鉄道のイベントで落語をやったのがちょうど1年前。翌日は、沿線に八つある前駅を調査したあとJR五能線を経由して五所川原まで行き、津軽鉄道の五農校前を測量して夜は八戸に宿泊するという、怒濤(どとう)の1日を過ごしました。そんな旅ができた日々が懐かしいです。
 弘南鉄道で「尾上高校前」という味わい深い前駅を見つけました。ホームの周りは見渡すかぎり田んぼで、その奥には岩木山がそびえています=写真。尾上総合高校までの道のりも田んぼの中。駅と学校の他に見える建物はビニールハウスくらいです。距離は400メートル弱なので近いとは言えないのですが、その何もなさが駅の目的地は学校以外にないという、純粋な前駅感を際立たせています。調べてみると、高校の開校と駅の開業は同じ1999年4月1日であることが判明。まさに高校のために設置された前駅だったのです。施設のために作られた前駅は他にあるにしても、ここまで相思相愛な例はまれです。前駅に「近い」「遠い」以外の価値観があることを教えられ、目から鱗(うろこ)が落ちました。
 何よりも遮るものがないので、駅から学校が見えます。「見える」という前駅の基本も押さえた良い前駅です。

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