コロナでブームのボードゲーム、絶版の名作が日本で復刻 藤井二冠の活躍が追い風

2020年11月10日 18時00分
 「20世紀の囲碁」と呼ばれる米国発のボードゲーム「TwixT」(ツィクスト)の日本版が今月に初めて発売される。約60年の歴史を持つものの、米国などでは絶版になっていた名作で、囲碁将棋の人気などを追い風に装いを新たにする。普及活動を続けてきた愛好家グループは、広がりに期待を寄せる。(谷口大河)

11月20日に発売予定の「ツィクスト」=ジーピー提供

 ツィクストは、2人のプレーヤーが「ペグ」と呼ばれる駒を盤面の穴に挿して勝負する。戦いに必要な大局観、広い盤面が囲碁に近い。
 過去の多様な名作ゲームの復刻を検討していた玩具メーカー・ジーピー(東京都)が、ツィクストの普遍的な面白さに目を付けた。
 さらに、囲碁将棋やボードゲームがブームになっており、囲碁に近いツィクストは、広く人気を得られると判断。作者の権利を引き継いだ関係者と、正式にライセンス契約を結んだ。盤のデザインを一新し、日本語版と海外向けの英語版を展開する。
 新たな展開に、愛好家グループ「日本ツイクスト協会」の今泉匠会長(38)=名古屋市=は「日本での発売は心強い。これからもっと広めていける」と期待を寄せる。

日本語版発売を喜ぶ日本ツイクスト協会の今泉匠会長(右)と辻信也副会長=名古屋市中区で

 英語版で遊んだ経験から、辻信也副会長(43)=愛知県日進市=らとともに、「遊べる環境やファンを増やしたい」と、2015年に協会を発足。十数人が活動する小規模な集まりだが、定期的に講習会を開くほか、海外で仕入れた中古品を販売したり、独自の教本を作ったりと、地道に魅力を紹介してきた。
 協会でゲームを製造・販売する構想もあったが、コストなどが課題となり断念した。2人は「ルールはシンプルだけど奥深く、埋もれているのが惜しかった。どこかが販売してほしいと考えていた」と明かす。
 協会はジーピーと協力し、さらに普及に取り組むつもりだ。「ツィクスト」は20日発売予定。価格は4730円。

◆コロナでアナログが再評価

 「人生ゲーム」「モノポリー」といった盤や駒、カードなどを使うボードゲームは近年、市場の盛り上がりが続く。店内で遊べる「ボードゲームカフェ」も全国にできている。
 書籍やゲームを扱う「TSUTAYA」(本社・東京)では、今年4~6月のボードゲームの総売り上げが前年同期比4・5倍に。家族向けの遊びやすいゲームが人気という。
 ボードゲームを紹介するサイトを運営する小野卓也さんは、人気の要因について、デジタルメディアに囲まれた現代におけるアナログ活動の再評価や、会員制交流サイト(SNS)による口コミの広がりなどを挙げる。新型コロナウイルスの感染拡大で、自宅で遊べるゲームへの注目も、より高まったとみられる。
 伝統的なボードゲームである囲碁将棋も、仲邑菫初段、藤井聡太二冠=愛知県瀬戸市=ら若い世代の活躍で、既存のファン層以外にも人気が拡大している。

TwixT(ツィクスト) 米国のゲームデザイナー、故アレックス・ランドルフさんが、1962年に発表したボードゲーム。2人のプレーヤーが交互に、「ペグ」と呼ばれる駒を縦横24マスの盤に挿す。自分のペグ同士を橋の役割をする棒でつなぎ、相手の邪魔をしながら延ばしていく。先に両端を結んだ方が勝ち。(写真はジーピー提供)

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