都外の感染者を都内人数に計上 郵送の唾液検査、正確な情報発信に課題<新型コロナ>

2020年11月11日 06時25分
 新型コロナウイルスのPCR検査を巡り、東京都外に住む人から郵送された唾液の検体を都内の医療機関が陽性判定し、都内の感染者に計上される事例が増えている。法律上、都内の保健所に報告されるためだ。実際の新規感染者は100人を切っていたのに、発表で「7日連続で100人超」となった例もある。逆に他県などでは実数よりも発表人数が少なくなり、正確な感染情報の発信が課題となっている。(小倉貞俊)
 唾液による検査は、厚生労働省が7月中旬、無症状者でも有効性を認めた。以降、希望者が自己採取した検体を郵送で受け付け、診断する医療機関が目立ち始めた。医師や保健所が必要性を認めた行政検査ではない自主的な検査のため、医療機関が充実している都内に送られることが多いという。
 都によると、こうした陽性判定の事例は散見されていたが、10月に入って増加。1週間単位で見ると、9月29日~10月5日の週の4人から、その後、14人、10人、40人などと推移。10月の1カ月間では、感染者5350人のうち、76人(1.4%)に上った。
 10月中旬に発生した千葉県船橋市の物流倉庫会社のクラスター(感染者集団)では、感染者約100人のうち27人が、都内医療機関での自主検査で陽性と判明。同26日には、うち9人が都の発表分に含まれ、都の発生患者は102人とされた。これを除けば都内新規感染者は1週間ぶりに2桁の93人となるはずだった。反対に千葉県はこの日の新規感染者を25人と発表したが、実際は30人を超えていた。
 同様の都外感染事例の計上は大阪府から10件ほど、遠方では青森、沖縄県などからもある。都はいずれも「都内への通勤、通学者といった都内との関連は薄い」とみており、感染状況を評価する毎週のモニタリング会議では、この人数は分析対象から除外している。
 これらの感染者情報は、都から居住地の保健所に提供されているため、患者の健康観察などに支障はない。ただ、都内の計上によって自県の発生状況の発表が過少になるため、ある県の担当者は「今後も増えていけば、実態とのずれが広がり、県民の警戒感が薄まる恐れもある」と話す。
 小池百合子都知事は会見で「新たな状況でもあり、今後どう整理していくのか検討が必要だ」との認識を示している。

◆検査申し込み5万件、6割が都外居住者

 郵送による唾液検査を都内2カ所の医院で8月下旬から受け付けている「にしたんクリニック」では、11月上旬までに計5万件の申し込みがある。うち都外の居住者が6割近く。10月の申し込みは9月の2.5倍に上り、希望者が増加しているという。
 クリニックの担当者は「周りに感染者が出た人だけでなく、旅行や海外出張の前に感染していないことを確認したいという人も多い。今後、インフルエンザの同時流行や年末年始の帰省の時期を控え、自主検査のニーズがより高まるのでは」と話している。

関連キーワード

PR情報

社会の最新ニュース

記事一覧