不正の総額は9億円超? 医療法人から横領の疑いで元理事ら逮捕 

2020年11月11日 06時00分
 さいたま市の医療法人の口座から1億3000万円を不正に流用したとして、警視庁捜査2課は10日、業務上横領の疑いで、大崎病院東京ハートセンター(東京都品川区)を運営する医療法人「冠心会」(同区)=民事再生中=の元常務理事遠藤容子容疑者(63)=同区=ら3人を逮捕した。捜査関係者によると、不正流用の総額は9億円超という。
 他の逮捕者は、冠心会の元経理担当職員勅使河原大吾容疑者(47)=横浜市=と、会社役員西沢昌弘容疑者(53)=東京都中央区。
 逮捕容疑では、遠藤容疑者がさいたま市の医療法人「一成会」=民事再生中=の理事だった2016年8月、理事会の承認を得ずに口座から1億3000万円を法人2社に送金し、着服したとされる。2課は3人の認否を明らかにしていない。
 一成会の経営権は同年3月、東京都千代田区の不動産会社が取得。その後、理事長に当時冠心会理事長だった医師の遠藤容疑者の夫が兼任で就き、遠藤容疑者も理事に就任した。2課は、冠心会と不動産会社は取引関係があり、遠藤容疑者が一成会の経営権取得に関与したとみて調べる。
 捜査関係者によると、遠藤容疑者は一成会の理事就任後、運営する病院や介護施設の今後の収入となる診療報酬を債権化(ファクタリング)して数億円の資金を調達。資金繰りに行き詰まっていた冠心会に資金を移すなどしていたという。
 信用調査会社によると、冠心会は1994年に設立。運営する大崎病院東京ハートセンターは心臓の高度な医療技術を持つ病院として全国から患者を集めたが、昨年8月に経営破綻し、現在は経営陣を刷新して運営している。一成会は昨年4月に経営破綻した。

◆「自分の財布と思っていたのでは」元幹部怒り

 遠藤容疑者が常務理事を務めていた医療法人「冠心会」でも不正流用は問題となっていた。同法人は遠藤容疑者が取引業者に架空請求していた疑いを示す資料などを警視庁に提出。流用した金はブランド品の購入にも使われたとみられる。
 冠心会が運営する大崎病院東京ハートセンターの元幹部は「毎日違うシャネルの服を着ていた。法人の金は、自分の財布だと思っていたのではないか」と怒りをあらわにした。
 病院の資金繰りが悪化した2018年末以降、手術器具の購入資金が不足。患者の容体悪化に対応できなくなり、昨年4月に全入院患者を転院させた。「院内を掃除する人もいなくなった。患者をバラバラにさせてしまって本当に申し訳ない」と無力感をにじませた。
 元幹部は「(遠藤容疑者を)誰も注意できる人はいなかった。夫の理事長に相談しても『困ったもんだね』で終わり。遠藤容疑者の完全な言いなりだった」と語った。(井上真典)

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